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//August 9//

修智館学院は夏休みに入った。

実家に帰る生徒、

部活に精を出す生徒、

勉強にいそしむ生徒、

寮で遊びほうける生徒、

いろんな生徒がいる中、

俺と瑛里華は、ほとんど毎日が文化祭の準備。

時間が取れず、やきもきしながら日々を過ごしていた。

恋人に必要なのは、誰にも邪魔されず、話したり手をつないだりする時間だ!

と、

毎晩、枕に向かって無言で叫ぶ俺。

午後の監督生室。

俺と瑛里華は黙々と仕事をこなしていた。

キーボードの音やペンの走る音、書類をまとめる音だけが響いている。

【伊織】「あ、あのさぁ。これは提案なんだけど」

【伊織】「やっぱり、君らは羽を伸ばしたほうがいいよ」

【瑛里華】「仕事がありますから」

【孝平】「責任がありますから」

毎日、同じ場所にいるのに遊べない。

これは、想像以上のストレスだった。

俺も瑛里華も、日を経るごとに口数が少なくなっている。

これじゃダメだとは思うんだが。

【白】「あ、あの、お、お茶です」

【瑛里華】「ありがと」

【瑛里華】「なんで震えてるの?」

【白】「い、いえ、怖くありません。平気です」

カタカタカタカタカタ

ティーカップが揺れている。

【伊織】「ふむ」

【征一郎】「ふむ」

先輩が同時にうなずいた。

【伊織】「よし、名案を思いついたぞ!」

ズバっと立ち上がる会長。

【瑛里華】「早く言って」

【孝平】「ええ」

【伊織】「くっ、この恐怖」

【伊織】「

我が妹夫婦ながら恐ろしい」

【征一郎】「で、名案というのは?」

【伊織】「おお、そうだった」

【伊織】「ただいまから3日間、生徒会役員は完全休養するように」

【孝平】「は?」

【瑛里華】「なぜ?」

【伊織】「な、なぜって、俺が遊びたいからだ」

【伊織】「海や山で開放的な気分になって、ほろ苦い思い出を作りたい」

【伊織】「というより、この部屋から出してくれ」

【孝平】「いいんですか、この忙しいのに」

【征一郎】「たまには良いだろう」

【征一郎】「ただし休むのも仕事だ。休む以上は、一切仕事はしないことだな」

【瑛里華】「まあ、征一郎さんが言うなら」

【孝平】「しょうがないか」

【白】「そうです、仕方がないのです」

【孝平】「じゃあ、この書類が終わったら」

【伊織】「会長命令だ、仕事は禁止」

【孝平】「わかりました」

【瑛里華】「はい」

ボールペンを置く。

【孝平】「じゃあ、どうする?」

【瑛里華】「とりあえず、食事でもしましょうか」

【伊織】「おお、思うさま食ってくれ」

【白】「たくさん食べて、大きくなってください」

なんか、白ちゃんは錯乱している。

【瑛里華】「じゃ、帰るわね」

【孝平】「また、3日後に」

【征一郎】「良い休日を」

【伊織】「お疲れさま」

俺たちは、未決の書類を軽く片づけ、監督生室を出た。

//Switch POV to student council//

【白】「……」

【伊織】「……」

【征一郎】「……」

【伊織】「怖かった」

【白】「わたし、まだ体が震えています」

【征一郎】「伊織、よくやってくれた」

【伊織】「いや、征のフォローのおかげだ」

【征一郎】「やはり、できたてカップルを仕事漬けにするのはよくないな」

【伊織】「俺たちにとってな」

【白】「お二方、怖い目をしていました」

【伊織】「くわばらくわばら」

【征一郎】「俺たちも少し根を詰めすぎた」

【征一郎】「いい機会だ、骨休めとしよう」

【伊織】「よし、俺は若者らしく旅に出るぞ」

【征一郎】「期日までに帰ってこいよ」

//August 10//

という事情があった次の日。

約束通り海水浴場に繰り出していた。

熱い砂の上にレジャーシートを敷き、俺は荷物番。

瑛里華は華麗な変身の真っ最中だ。

瑛里華はどんな水着を着てくるだろう?

中身のかわいさは折り紙付きだから、どんなデザインでも似合うと思う。

しかし、あんまり過激だと、諸般の事情で今後の運動に支障をきたしかねない。

かといって、地味だと寂しい。

女子更衣室の方は見ないようにしつつ、想像を巡らす。

【瑛里華】「お待たせー」

【孝平】「お、おう」

なんてこった。

ウッズもびっくりのスーパーショットだ。

赤のビキニに白のTシャツを羽織り、裾を胸の下できゅっと結んでいる。

すらりと伸びた腕と脚、くびれたウェスト。

【孝平】「よ、よく似合ってる」

【瑛里華】「どの辺が?」

【孝平】「どの辺って、そりゃ、ええと」

もう一度、瑛里華の全身を眺める。

余計に胸が高鳴った。

【瑛里華】「ねえ、どの辺?」

俺の目の前に屈み込む。

目の保養を通り越して、もはや刺激物だ。

【孝平】「知らん、全部だ全部」

【瑛里華】「私だって恥ずかしいんだから、ちょっとは褒めてくれてもいいじゃない」

そう言って俺の左隣に座る。

【孝平】「か、かわいいよ」

【孝平】「色も似合ってるし、それに……」

【瑛里華】「それに?」

【孝平】「スタイル、すごくいいんだな」

【瑛里華】「手、貸して」

【孝平】「は? なんで?」

【瑛里華】「いいから」

問答無用で左腕を握られた。

俺の手を、どこに持っていこうと……。

【瑛里華】「ん、ちゃんとドキドキしてるわね」

脈を取られた。

【孝平】「そんなの、見りゃわかるだろ」

【瑛里華】「怒らないの」

【瑛里華】「ちょっと、からかってみたかっただけ」

そう言って、俺の肩にしなだれかかってきた。

腕に当たる柔らかいのは、言わずもがなのアレだ。

【孝平】「いつもと、匂いが違うんだな」

【瑛里華】「あ、気づいた?」

【孝平】「いつもは柑橘系だけど、今日は、なんだろう?」

【瑛里華】「嗅いでみたら?」

【孝平】「どこに香水つけてんだ?」

【瑛里華】「ここ」

と、胸を指した。

【孝平】「どうやって嗅ぐんだよ」

【瑛里華】「あはは、冗談」

【瑛里華】「ホントはこっち」

と、ハンドタオルを出した。

【瑛里華】「水に入るかもしれないのに、体につけたら流れちゃうでしょ」

【孝平】「そりゃそうか」

タオルの香りを嗅いでみる。

【孝平】「石鹸っぽい香りがした」

【瑛里華】「嫌い?」

【孝平】「いや、好きだよ」

【瑛里華】「そう、良かった」

【瑛里華】「香りは好き嫌いがあるから」

【瑛里華】「孝平はどんな香りが好き?」

【孝平】「甘ったるいのはダメだな」

【孝平】「つけすぎてなきゃ、だいたい大丈夫だけど」

【瑛里華】「つけすぎないように注意するわ」

【瑛里華】「これからも、香りがきつすぎたら言ってね」

【孝平】「ああ」

【孝平】「じゃ、泳ぐか」

【瑛里華】「そうね」

立ち上がり、瑛里華の手を取る。

【孝平】「よーし、いくぞっ」

【瑛里華】「テンション高いわね」

【孝平】「無理……」

どさりと、レジャーシートに倒れこんだ。

【瑛里華】「だらしがないわねえ」

【孝平】「テンション高えのどっちだ」

【瑛里華】「あはは……ごめん」

こっちは人間。

瑛里華の遊びに着いていくので精一杯だった。

【瑛里華】「いや、楽しくてつい」

【瑛里華】「じゃ、お詫びにマッサージしてあげる。どこが疲れた?」

【孝平】「腰かな」

【瑛里華】「了解。だったらうつ伏せになって」

言われた通りにする。

正直なところ、仰向けでマッサージされるとヤバいことになるのでは、という危機感があった。

【瑛里華】「痛かったら言ってね」

【孝平】「おう」

瑛里華の手が腰に触れる。

しっとりした感触は、海に入っていたからではなく、肌の質感のせいだ。

ぎゅっぎゅっ

リズミカルに押してくる。

【孝平】「おー、気持ちいい」

【瑛里華】「こっちはどう?」

手が、腰から背中に上がってくる。

【孝平】「ああ、すごくいい」

【瑛里華】「こってるわね」

【孝平】「デスクワークばっかりだったから」

【瑛里華】「そうよね」

【瑛里華】「監督生室の椅子って、デザインはかわいいんだけどクッションがね」

【孝平】「アンティークだもんな」

【瑛里華】「かなりいい物なのよ」

【瑛里華】「体には優しくないけど」

突然、背中にかかる体重が増した。

【孝平】「ぐえ」

【瑛里華】「よっこいしょっと」

声がしたかと思うと、太腿の裏側に体重が乗った。

柔らかな感触と熱。

もしかして……。

【孝平】「乗ったな」

【瑛里華】「重くない?」

重いと言ったら、どうなるんだろうか?

【孝平】「へ、平気」

【瑛里華】「よーし」

【瑛里華】「よっ、ほっ」

適度な刺激が腰や背中をほぐしてくれる。

それ以上に、こすれあう太腿の感触がヤバい。

地盤改良工事のごとく、軟弱な砂地に杭を打ち立てかねない。

耐震強度も上がり、瑛里華が上で暴れても大安心というわけだ。

かなり混乱していた、俺が。

【瑛里華】「はい、終わり」

【孝平】「お、ありがと」

瑛里華が俺の体から下りる。

名残惜しさを感じつつも、体を起こす。

【孝平】「お返しに肩でも揉むよ」

【瑛里華】「どーしよっかなー」

じろりとにらまれる。

【孝平】「やましいことはないぞ、決して」

【瑛里華】「ふーん」

【瑛里華】「じゃ、お願いね」

座った瑛里華が、俺に背中を向ける。

【瑛里華】「あ、髪ジャマね」

濡れた髪を前に持っていき、うなじを露出させた。

【孝平】「いくぞ」

かすかに震える手を落ち着かせ、瑛里華の肩に触れる。

【瑛里華】「ひゃっ」

【孝平】「変な声出すなよ」

【瑛里華】「だって、くすぐったいから」

【孝平】「大人しくしてろって」

手に力を込める。

【瑛里華】「あー、いいかも」

【孝平】「こってるとこあるか?」

【瑛里華】「うーん、全体的に」

【孝平】「全体的、ね」

ゆっくりと肩をほぐしていく。

やっていてわかったが、瑛里華はたいして肩がこっていなかった。

こうしたかっただけなのかもしれない。

ま、いいか。

そう思ってくれていたのなら嬉しいし、スキンシップは少しも悪いことじゃない。

【孝平】「どう?」

【瑛里華】「気持ちいい。リラックスできるわ」

【孝平】「よかった」

瑛里華の肩を丹念に揉んでいく。

俺まで穏やかな気分になってきた。

人に触れていられるというのは、本当にいいことだ。

それが好きな人ならなおさらだ。

性欲とは違う部分の欠損が満たされていく気がする。

そして、やや遅れ、いとしさがこみ上げてきた。

この人と離れたくない。

引き離そうとするものがあるなら、排除しなくちゃいけない。

そういう感情が自然に浮かんでくる。

不思議なものだ。

【瑛里華】「ん……」

瑛里華の体から力が抜け、俺にもたれかかってきた。

【孝平】「どうした?」

【瑛里華】「すぅ、すぅ」

返事はなく、寝息だけ聞こえた。

疲れてたんだろうな……。

彼女はいろんなものを背負ってる。

人と付き合う、ただそれだけのことにしても単純にはいかない。

悩み苦しんだ結果が、監督生室での言い合いだった。

あれから、問題は何一つ解決していない。

卒業と同時に彼女は屋敷に戻り、俺はどこかへ消える。

回避する術など、思いついちゃいない。

なんとかしないと。

肩を揉む手を止め、瑛里華を後ろから優しく抱く。

吸血鬼って言ったって、体はこんなに薄く、肩は細い。

たとえ俺の方が非力だったとしても、守らなくちゃならない。

この大切な人を。

学院に帰ってきたころには、日はとっくに暮れていた。

なにしろ、瑛里華は夕方まで眠っていたのだ。

途中からは俺も寝てたし。

【瑛里華】「ごめんね、せっかく海に行ったのに」

【孝平】「気にするなよ、俺は楽しかったぞ」

【孝平】「瑛里華はつまんなかったか?」

ぶんぶん首を振る。

【孝平】「ならいいだろ」

瑛里華の頭を抱え、優しく撫でる。

【瑛里華】「うん」

【孝平】「さ、帰ろう」

瑛里華の手を引く。

【孝平】「ほら、そろそろ手を離さないと」

【瑛里華】「あ、そうだね」

つないでいた手を離す。

名残惜しそうに、人差し指同士が絡まる。

【孝平】「また明日遊ぼう」

【瑛里華】「そうね」

そう言いながら、切なげな目で俺を見る。

【孝平】「大丈夫。消えてなくなりゃしないさ」

もう一度、頭を撫でる。

付き合って気づいたことだが、瑛里華はどうも別れ際に弱いらしい。

別れてすぐに電話を掛けてくることもある。

彼女には悪いけど、男冥利に尽きると言える。

【孝平】「ちゃんと歯磨いて寝るんだぞ」

【瑛里華】「当たり前でしょ、バカ」

【孝平】「じゃ、おやすみ」

【瑛里華】「ええ、おやすみ」

手を軽く振って自室に向かう。

少しして振り返ると、彼女はまだ小さく手を振っていた。

【孝平】「ふう……」

荷物を放り出し、ベットに横たわる。

心地よい疲労感があった。

今日の出来事を頭の中でリピートする。

やっぱり瑛里華の水着姿が脳裏に焼きついていた。

携帯が鳴る。

瑛里華だ。

このタイミングってことは……

また、寂しくなってしまったらしい。

【孝平】「もしもし、どうした?」

【瑛里華】「あ、うん、なんとなく」

さりげなさを装いつつも、声は切なげだった。

寂しさが伝染してくる。

【孝平】「まだ消灯まで時間あるし、どっかで会うか?」

【瑛里華】「談話室?」

【孝平】「ああ」

【孝平】「別の場所でもいいぞ、俺の部屋とか」

大胆発言をしてみた。

【瑛里華】「えーと……」

ためらっている。

当たり前か。

【瑛里華】「行く」

【孝平】「えっ!?」

【瑛里華】「行くって言ってるの」

【瑛里華】「来てほしくないの?」

【孝平】「いや、来てくれ」

【孝平】「ゆっくりお茶でも飲もう」

【瑛里華】「わかった」

【瑛里華】「少し、時間かかるかも」

【孝平】「待ってる」

【瑛里華】「じゃ、またね」

電話を切る。

【孝平】「……」

急展開だ。

来るのか、瑛里華がここに。

ぐるりと部屋を見回す。

危険物センサーON。

……。

そりゃあるさ、男の子だもの。

ベッドを飛び降りる。

まずは、危険物を隠して、次に掃除。

時間は限られてるぞ。

床の掃除を終えたところで、ノックの音が聞こえた。

ぎりぎりセーフといったところだ。

【孝平】「ちょっと待ってくれ」

入口に向かう──

その前に、ベランダの鍵を確認。

かなでさんが飛び込んできたら大変だ。

よし。

緊張を隠しつつ、ドアを開く。

【瑛里華】「こんばんは」

【孝平】「おう」

いささか緊張した面持ちの瑛里華。

【孝平】「どうぞ」

【瑛里華】「お邪魔しまーす」

ドアを閉め、鍵を掛けた。

【瑛里華】「な、なんで鍵閉めるのよ」

【孝平】「逃げられないようにさ」

【瑛里華】「本気で?」

後ずさる瑛里華。

【孝平】「冗談だって」

【孝平】「でも誰か入ってくるのもちょっと嫌だろ」

【瑛里華】「そ、そうね」

【孝平】「とりあえず、座るか」

【瑛里華】「あ、うん」

瑛里華はちょこんと床に座った。

【孝平】「お茶淹れるな」

【瑛里華】「よろしくー」

紅茶の湯気がたちのぼる。

まずは一口飲み、気分を落ち着けた。

【瑛里華】「今日は楽しかったわ」

【瑛里華】「私、海水浴初めてだったの」

【孝平】「そうだったのか」

【孝平】「また来年も行こうぜ」

【瑛里華】「ええ、絶対よ」

【孝平】「もちろん」

【瑛里華】「あ、そうそう……」

瑛里華が部屋を見回す。

【瑛里華】「ちゃんと健全な生活してるかな?」

【孝平】「も、もちろん」

【瑛里華】「じゃあ、ちょっとチェックしちゃおっかな」

瑛里華が本棚や小物を調べ始める。

ふふふ、残念ながらそこの地雷は撤去済みだ。

【瑛里華】「ん~、何もないな~」

ふらふらと部屋を見回る。

無駄無駄。

【孝平】「元からないもんは、探しても出てこないぞ」

【瑛里華】「自信満々ね」

【瑛里華】「悠木さん、けっこうあるって言ってたけど」

【孝平】「なんだとっ」

【瑛里華】「ま、冗談だけどね」

はめられた。

【瑛里華】「焦るってことは、あるみたいね」

【孝平】「健全なだけだ」

【瑛里華】「別に怒ってないわよ」

そう言って、瑛里華は俺の隣に座る。

【孝平】「席はあっちだろ?」

【瑛里華】「意地悪」

瑛里華は脚をくずし俺にもたれた。

瑛里華の感触に鼓動が早くなる。

【孝平】「健全な男子に近づくと、どうなるかわかってるのか?」

【瑛里華】「さあ」

試しに手を握ってみると、ほんの少し震えていた。

【孝平】「瑛里華」

もう片方の空いた手で、瑛里華の頭を撫でる。

【瑛里華】「ん……」

気持ちよさそうに目を閉じる。

体温が上がったのか、ふわりと瑛里華の香りが流れてきた。

もしかしたらそれは、動物で言うフェロモンみたいなものかもしれない。

証拠に、理性が少しずつ弱くなっていくのを感じる。

【孝平】「かわいいな、瑛里華は」

頭を撫でていた手をうなじに差し入れる。

そこはわずかに汗ばんでいた。

【瑛里華】「くすぐったい」

瑛里華が俺の目を見る。

見ているくせに見られたくないような表情。

誘われるように、俺は顔を近づけた。

【孝平】「瑛里華」

【瑛里華】「好きって言って」

【孝平】「好きだよ」

唇を重ねた。

みずみずしい唇は簡単に形を変える。

首の角度を変え、違う方向から瑛里華を味わう。

リズムを取るように、互いの唇をついばみ合う。

どちらからともなく吐息が漏れ、唇の間で一つになった。

【孝平】「怖くないか?」

【瑛里華】「平気、孝平だから」

再び距離をゼロにする。

強めに唇を押しつけると、歯と歯がカチリと音を立てた。

舌先で歯の表面を撫でてから、歯茎をなぞる。

【瑛里華】「ん……ふ……」

息が荒くなってきた。

同時に、歯の隙間から瑛里華の舌がおずおずと顔を出す。

舌先を触れさせた。

ぬらりとした感触に、頭がぼうっとなる。

舌を先へ送り出すと、瑛里華の舌が立ちふさがった。

その防壁をなだめすかすように舌を回り込ませる。

ぴちゃ、くちゅ

水音が漏れる。

俺と瑛里華の唾液が混じりあっている。

信じられないという思いと感動に、俺はより深く強く舌を絡める。

【瑛里華】「ぴちゅ……くちゅ、ちゅっ」

瑛里華も俺の舌の動きに応えてくれる。

彼女の舌が、俺の口蓋、歯茎、舌の裏をなぞっていく。

そして、鬼ごっこのように、互いの舌を追いかけ合う。

キスというより、互いの舌と口を愛撫し合う行為だった。

【瑛里華】「ちゅっ……はぁ……」

唇が離れる。

無言のまま、再び接触する。

今度はいきなり舌を入れていく。

ぴちゅ、くちゅ

俺の部屋に湿った音が響く。

ただ無心に舌を動かす。

気がつけば、俺の股間はすでに硬くなっていた。

【孝平】「瑛里華」

握っていた手を離し、彼女の胸に持っていく。

服の上からそこに触れる。

ふわっとした感触。

瑛里華の吐息が強くなり、甘い芳香が一段と匂い立つ。

彼女の手が、俺の手に重なった。

拒否ではないだろう。

ゆっくりと乳房を撫でる俺の手に、重ね合わせているだけだ。

瑛里華の舌の動きが止まる。

顔が離れると、熱い息が漏れた。

【瑛里華】「んっ……あっ……」

とぎれとぎれの声。

俺の手の動きに合わせ、体をぴくぴくと震わせる。

気持ちいいのか?

男の俺に、その感覚はわからない。

ただ、自分の刺激に瑛里華が悪くない反応を示していることが嬉しい。

【孝平】「痛く、ないか?」

【瑛里華】「う、うん、平気」

目をつむったまま、瑛里華が答えた。

返事を聞き、俺は両手を乳房に当てる。

薄いブラウスの下には、ブラのワイヤーの感触。

ブラごと、大きく乳房をもみしだく。

【瑛里華】「は、あ、孝平……好き」

手を動かしながら、瑛里華の耳元に口を寄せる。

【孝平】「俺もだよ、瑛里華」

そのまま、耳たぶを甘くかむ。

首筋に口づける。

舌を這わす。

【瑛里華】「ひゃう……んっ……」

瑛里華が痙攣する。

ぴたりと合わせた膝を、もじもじとこすり合わせている。

【孝平】「くすぐったい?」

【瑛里華】「うん、くすぐったいけど」

【瑛里華】「よ、よくわからない」

【孝平】「気持ち悪いか?」

【瑛里華】「ううん」

【孝平】「やめるか?」

【瑛里華】「あ、大丈夫」

彼女の反応がわからなくて、確認を繰り返す。

【孝平】「直接、触るぞ」

ブラウスの裾に手を回す。

ゆっくりと差し入れる。

【瑛里華】「あっ……ちょ、ちょっと……待って」

【孝平】「ん? どうした?」

瑛里華が俺の胸に頭を当てた。

【瑛里華】「ここじゃ……」

【孝平】「あ、ごめん」

嫌だよな、こんなトコじゃ。

テーブルの上には、飲みかけの紅茶が二つ。

湯気もなく、ゆらゆらと水面が揺れている。

【孝平】「ベッドに行こうか」

胸の中で瑛里華がうなずく。

そんな彼女を抱きしめ、できるだけ優しく立ち上がらせる。

二人とも、膝はカクカクと震えていた。

おぼつかない足取りで、ベッドへ向かう。

股間はすでにはちきれんばかりで、歩くたびに圧迫される。

ベッドまでの2メートルばかりの距離が遠い。

【孝平】「好きだよ」

【瑛里華】「うん、大丈夫、平気」

俺に対する答えなのか、自分に言い聞かせているのか、わからない。

瑛里華も、不安や恐怖と、なんとか折り合いをつけようとしているのだろう。

【孝平】「大丈夫だ、瑛里華」

ベッドの端に到着した。

二人で腰を下ろす。

瑛里華はずっと俺に抱かれたままだ。

【瑛里華】「私でいいの?」

消え入りそうな声だ。

【孝平】「瑛里華がいいんだ」

【瑛里華】「でも、私は……」

吸血鬼だし、未来はないのかもしれない。

【孝平】「わかってる」

【孝平】「それでも、瑛里華じゃなくちゃ嫌なんだ」

【瑛里華】「ごめんなさい」

【孝平】「謝ることなんてないさ」

【孝平】「俺は、平気だ」

瑛里華を抱きしめ、背中を撫でる。

【孝平】「一緒だ、ずっと」

【瑛里華】「うん」

瑛里華の肩を持ち、体を離す。

口づける。

彼女を抱くことに迷いなどない。

それが伝わればと思う。

【瑛里華】「ん……ちゅ……」

すぐに舌が絡む。

唾液が絡む甘い感覚に、頭がしびれていく。

【瑛里華】「ん……くちゅ……ちゅっ」

瑛里華は一心に舌を動かしている。

どうしてこんなに愛しいのか。

理由などわかりようもない。

瑛里華の肩を持つ手に力を込める。

//H-scene starts//

受け流すように、彼女はゆっくりと仰向けになった。

体重をかけないよう覆い被さり、双のふくらみに手を当てる。

【瑛里華】「ん……」

乳房を温めるように、ゆっくりと手を動かす。

【瑛里華】「あ……うっ……」

瑛里華の眉がゆがみ、声が漏れる。

わずかにだが、手のひらに突起の存在を感じた。

ブラに包まれたそこを指の腹で撫でる。

【瑛里華】「ひゃっ、あっ」

びくりと体を震わせた。

【孝平】「痛かったか?」

声なく首を振る瑛里華。

ならばと、さらに乳首を刺激する。

【瑛里華】「はっ、あっ、うっ」

面白いように瑛里華が弾み、息がどんどん荒くなる。

【孝平】「服、脱がすな」

瑛里華がぎゅっと目を閉じる。

俺は、震える指先で赤いリボンを外す。

しゅるりと、それはあっさりとはずれた。

そして、ボタンに手をかける。

一つ、

二つ……

上から順に戒めをとき、雪のように滑らかな肌を露出させていく。

鎖骨の隆起から、胸もとのなだらかな山裾。

そして、

二つのふくらみが姿を現す。

ブラは白で、豪華なレースがあしらわれていた。

【孝平】「すごく、きれいだぞ」

【瑛里華】「そんなこと、ないから」

目をつむったまま言う。

顔はもう真っ赤だ。

【孝平】「きれいだって」

一番下までボタンを外し、前を開く。

上半身があらわになった。

新雪の肌には薄く血が上り、汗がなまめかしくにじんでいる。

むしゃぶりつきたくなる衝動を抑えつけ、俺は再び胸に手を伸ばした。

【瑛里華】「あっ、んっ」

さっきよりダイレクトに、胸の感触が伝わってくる。

突起の存在も確かだ。

【孝平】「ここが感じるんだっけ?」

【瑛里華】「し、知らないわよ」

【孝平】「試してみるよ」

ちょっと意地悪を言って、ブラの上から乳首を転がす。

【瑛里華】「あっ、ああっ、んっ、あっ、あっ」

【孝平】「やっぱり感じてる」

【瑛里華】「い、いやらしいよ孝平……バカ、バカ」

身をよじりながら言う。

言葉には、まったく力が感じられない。

気にせず胸を刺激し続ける。

【瑛里華】「あっ、あんっ、やっ、ああっ、あっ」

声は甘く切なげだ。

瑛里華は腕を上げた格好で、ゆるゆると体をよじる。

俺は、胸を触ったまま上半身を押しかぶせ、鎖骨に舌を這わせた。

【瑛里華】「きゃっ、くすぐったい、こら、あっ」

瑛里華が俺の頭を押さえる。

彼女の抵抗を無視しつつ、舌を滑らせる。

胸の谷間、脇腹、ウェストライン、おへそまで。

【瑛里華】「あうっ、こらっ、あっ、くすぐっ……たいから」

抵抗が弱くなっていく。

肌はさっきよりも湿り気を帯び、汗のしょっぱさが俺の欲求を加速させる。

【孝平】「胸、直接さわっていいか?」

【瑛里華】「え、やだ……やだよ……」

【孝平】「どうして?」

【瑛里華】「そ、そんなの知らないわよ」

【孝平】「じゃ、触ればわかるな」

【瑛里華】「こ、こらぁ……」

そんな声出されたら、余計に見たくなる。

【孝平】「背中、少し浮かせて」

【瑛里華】「だめだって」

言いながらも背中を浮かす。

手を差し入れ、ブラのホックを探し当てる。

作りを想像しつつ、指先を動かす。

【瑛里華】「あ……」

小さな声とともに、ブラがゆるんだ。

【孝平】「外すぞ」

瑛里華はまた目を閉じる。

ゆっくりと、ブラをはずしていく。

なめらかなふくらみが、揺れた。

ブラがなくなっても、乳房はほとんど形を変えない。

乳房の先端には、ツンと立った乳首が存在を主張している。

【瑛里華】「小さいでしょ?」

世の女性を敵に回すようなことを言う。

【孝平】「ちょうどいいよ」

【孝平】「形も、すごくきれいだ」

言いながら、手のひらで包み込む。

しっとりとした質感。

その柔らかさは、俺の体のどこにもないものだ。

【孝平】「こんなに柔らかいのか」

乳房は手の中で自在に形を変える。

それでいて、手を離せばすぐに元の形へ戻った。

【瑛里華】「ん……ふぅ……」

瑛里華がため息のような息をつく。

直接さわっている分、慎重に優しく手を動かす。

【瑛里華】「あ、ん、なんか……先がぴりぴりする」

【孝平】「ここか?」

乳首に軽く触れる。

【瑛里華】「あうっ」

電気が走ったみたいにはねる。

【孝平】「敏感なんだ」

痛みを感じさせないよう、指の腹で少しずつ刺激を加えていく。

【瑛里華】「んっ、んあっ、や、やだ……あっ」

瑛里華が体を揺する。

逃げるようにも、刺激を求めているようにも見えた。

【孝平】「かわいいぞ、瑛里華」

【瑛里華】「へ、変なこと……言わないで」

【孝平】「こうしてみていいか?」

胸に顔を近づけ、乳首を口に含む。

【瑛里華】「え、ちょっと、恥ずかしい」

こっちはもうしゃべれない。

舌先で固いつぼみを転がす。

【瑛里華】「んふっ、あ……ん、んっ」

瑛里華に頭を抱えられた。

乳房に押しつけられながらも、舌を動かし続ける。

【瑛里華】「やだ、あっ、ああっ」

声が高くなってきた。

そろそろ、他のところも……。

俺は空いた手を下に伸ばしていく。

瑛里華の膝に触れ、さする。

【瑛里華】「あっ、ちょ、ちょっと」

奥に進もうとしたところを、太腿で挟まれる。

【瑛里華】「そっちは……恥ずかしいから」

【孝平】「そう?」

わざとらしく言って、再び乳首を口に含む。

【瑛里華】「あうっ……ん、あっ」

今までより速く舌を動かす。

太腿の力がゆるむ。

その隙に、手を股間まで滑り込ませる。

【瑛里華】「んんっ」

そこには熱気がこもっていた。

指先にはつるつるとした下着の感触。

その中心を探るように、手を動かす。

【瑛里華】「ああっ、あっ、あ……ああっ」

他の場所を触ったときとは声が違う。

眉根にシワを寄せながら、もじもじと腰を動かしている。

俺は、胸から顔を上げる。

【孝平】「痛くない?」

【瑛里華】「うん……」

【瑛里華】「ねえ……孝平も脱いで」

【孝平】「俺も?」

【瑛里華】「当たり前でしょ」

【瑛里華】「服着たままで、どうやって……」

言いかけて、口をつぐんだ。

「どうやってするの?」とでも言いたかったんだろう。

【孝平】「わかった」

シャツを脱ぐ。

いつの間にか、俺も汗だくだった。

カチャリとベルトを外す。

瑛里華を見ると、向こうは俺を凝視していた。

【孝平】「いやらしい」

【瑛里華】「そそ、そんなことないわよ」

瑛里華が慌てて目をそらす。

俺は、ズボンを脱ぎベッドの下に落とした。

【孝平】「……」

瑛里華が目を丸くして俺を見ている。

視線の先は。

トランクス。

ヤツが隆々としていた。

【孝平】「あ、えーと」

【瑛里華】「そんなに……なるんだ」

不安そうな表情を見せる瑛里華。

彼女の隣に再び移動する。

【孝平】「瑛里華がきれいだからだ」

【瑛里華】「バ、バカ……」

視線をそらす瑛里華の首筋にキスする。

【瑛里華】「んっ」

【瑛里華】「口が、うまいのね」

【孝平】「思ってることを言っただけだ」

右手を乳房に当て、再び愛撫する。

【瑛里華】「ん、あ、他の人にも……言うの?」

【孝平】「言うわけないだろ」

苦笑しながら左手を太腿に這わす。

瑛里華が身を固くする。

【孝平】「大丈夫」

【瑛里華】「慣れてる?」

【孝平】「まさか」

手を股間にぴったりと当て、秘裂をなぞるように上下させる。

【瑛里華】「あっ、んっ」

すぐに瑛里華が反応する。

知識はあるものの、実際にどこが一番いいのかわからない。

なんとなく目星をつけながら、手を動かす。

【瑛里華】「あっ、指、やらしい……やらしいから」

【瑛里華】「ああっ、んっ、んんっ」

瑛里華の息が荒くなる。

それにしたがって、太腿の間が熱くなってくる。

心なしか、下着の内側も湿ってきていた。

俺は、夢中になって指を動かす。

手の上下運動に、軽い振動も加えていく。

【瑛里華】「やっ、あうっ、あっ、あっ」

断続的に瑛里華が痙攣する。

【孝平】「どう?」

【瑛里華】「わかんないっ、わかんないって」

【孝平】「ちゃんと教えて」

手の動きを速める。

【瑛里華】「ああっ、やっ、だめっ、孝平っ、ああっ」

腕を両手で捕まれた。

軽く無視しつつ、指先に押し込むような動きを加える。

【瑛里華】「だめっ、あっ、あっ、あっ、あああっ」

瑛里華の体に力が入る。

もしかして、いきそうなのか?

忘れていた胸の愛撫も再開させる。

こっちも併せれば……。

【瑛里華】「あああっ、あっ、やっ、だめっ、だめだめっ」

【瑛里華】「やあっ、孝平っ、孝平っ、ああっ、いやあっ」

【孝平】「いいよ、いって」

【瑛里華】「あっ、ああっ、やっ、んあっ、いちゃ、いっちゃ……」

【瑛里華】「いっちゃ……だめっ、あああっ、あっ、あ、あ、いっちゃう……」

【瑛里華】「うあああああああぁぁぁぁぁぁっっっ!」

ひときわ声が高くなり、瑛里華が体をぎゅっと縮こまらせた。

そして、びくびくと何度も震える。

寄せ来る快感の波に耐えるかのようだ。

【瑛里華】「はぁ……はぁ……はぁ……」

くたりと力が抜け、瑛里華は大きく胸を上下させた。

【孝平】「瑛里華……」

指を少し動かす。

ぬるりとした感触が伝わってきた。

下着を少しずらし、指先を中に入れる。

くちゅ

濡れてる。

指先が溶けるように熱い。

【瑛里華】「孝平……はぁ、はぁ……やだって……言ったのに」

【孝平】「かわいかった」

【瑛里華】「ばか……」

すねたようなことを言いながらも、潤んだ目でじっと俺を見ている。

俺も、彼女の目を見る。

かすかに瑛里華がうなずいた。

【孝平】「……」

下着に手をかける。

瑛里華の腰が浮く。

丸めるように下着を下ろしていく。

スカートを着けたままなのが、妙に刺激的だ。

今までとは比べものにならないほど、胸が高鳴る。

【瑛里華】「見ないで……よ」

瑛里華がぎゅっと目をつぶる。

見てもいいと勝手に解釈し、下着をずらしていく。

……。

うっすらとした茂みが現れた。

下着の裏側は、愛液できらきら光っている。

すごい、な。

足の方に移動しながら、下着をおろし、片足を抜く。

足の間の暗がりはよく見えない。

でも、その奥に進みたい欲求が湧いてきては下半身に送られていく。

俺はトランクスを脱ぎ、床に落とした。

ペニスは感覚がなくなるほどに勃起している。

【孝平】「瑛里華」

ゆっくりと、脚の間に入っていく。

息を飲む音が聞こえた。

【孝平】「大丈夫」

瑛里華の脚を開かせながら、前に進む。

一瞬見えたそこは、ぴたりと閉じており、表面は濡れて光っていた。

【瑛里華】「大きく……なるのね……」

【孝平】「ああ」

そう言って、ゆっくり体を倒す。

【孝平】「いいか?」

【瑛里華】「気持ちよくなって、孝平」

【孝平】「ありがとう。好きだよ、瑛里華」

手でペニスを支え、先端を瑛里華のそこに合わせる。

【孝平】「いくぞ」

腰を前に進める。

【瑛里華】「んっ……」

先端が、ぬるりとした感触に包まれる。

【瑛里華】「はっ、あっ……」

瑛里華が眉間にしわを寄せる。

痛いのだろう。

だが、止められない。

さらに体重をかける。

一瞬の抵抗。

瑛里華を見る。

彼女が軽くうなずく。

狭い洞窟を、一気に割り開く。

【瑛里華】「うあっっ……あっ……」

ペニスが強烈に締め付けられた。

【孝平】「くっ」

危うくいきそうになった。

【瑛里華】「う……入った?」

【孝平】「ああ」

膣内は溶けるようだった。

自分と瑛里華の境界がなくなるような感覚。

【瑛里華】「き、気持ち……いい?」

【孝平】「ああ、すごくいい」

瑛里華が穏やかに笑う。

その頬を涙が伝った。

【瑛里華】「動いて、いいよ」

【孝平】「辛かったら、言えよ」

【瑛里華】「うん」

腰をゆっくりと引く。

【瑛里華】「あ……あ……う……」

ヒダの一枚一枚が、俺を逃すまいと手を伸ばす。

尻に力を入れ、快感をやり過ごす。

そして、再び押し込む。

【瑛里華】「んあっ」

すごい快感だ。

あと何回動けるか、わからない。

それでも、快感への欲求は止められない。

【孝平】「瑛里華っ」

ピストンを再開する。

ぐちゅ、ちゅっ、くちゅっ!

【瑛里華】「んああっ、あっ、あっ、んっ、あうっ」

水音と瑛里華のあえぎ声が、部屋に反響する。

結合部に目をやる。

ぬらぬらと光る男根が、瑛里華の中から血液混じりの愛液を掻き出す。

そしてまた、埋没していく。

瑛里華とつながってる。

その思いが、頭をどんどん白くしていく。

【瑛里華】「あっ、やっ、孝平っ、孝平っ!」

【孝平】「瑛里華、瑛里華っ」

名前を呼びながら、腰を打ち付ける。

ぐちゅ、ぐちゅ、ぴちゅっ

体がぶつかり合い、液体が飛び散る。

【瑛里華】「ああっ、あっ、うあっ」

【瑛里華】「こんなっ、あうっ、はげし、くて……」

動くたびに、瑛里華の体に衝撃が伝わる。

柔らかなふくらみが、たぷたぷとこぼれそうに揺れる。

それを両手でつかむ。

【瑛里華】「ああっ、あっ、あっ、あっ」

手加減なんかできない。

ただ、腰の動きに合わせて乳房をもみしだく。

【瑛里華】「んっ、あっ、あっ、だめっ」

【瑛里華】「胸が……あうっ、んあっ、あああっ……」

ぐちゅっ、くちっ、ずちゅっ、くちゃっ!

蜜で満たされたそこに打ち込むたびに、強烈な快感がペニスを包む。

もう腰の感覚もない。

本能に任せて腰を振るだけだ。

【瑛里華】「ああっ、なんかっ、じんじんしてっ、あっ、ああっ」

【瑛里華】「やっ、好きっ、孝平っ、あああっ、あっ、あっ」

喘ぎがとぎれずに流れる。

痛いだけじゃなく、感じてる。

【孝平】「瑛里華も、よくなって……くれ」

【瑛里華】「あうっ、あああっ、孝平っ、んっ、んっ、うあっ」

【瑛里華】「好きっ、好きっ、ああっ、孝平っ、わたしっ、わたしっ」

俺から飛んだ汗が、瑛里華に降っていく。

それにも気づかず、彼女はひたすら俺を受け止め続ける。

ペニスに、熱い衝動が上り始めた。

もう、もたない。

【孝平】「瑛里華っ」

胸をもみしだいていた手で、瑛里華の腰をしっかりと固定する。

渾身の力で棒を送る。

ぐちゅっ、くちゅっ、じゅちゅっ、ぐちゅっ!

【瑛里華】「ああっ、もう、私っ、やっ」

【瑛里華】「わかんないっ、白く、白くなるっ、やああぁっ!」

【孝平】「瑛里華っ、一緒にっ」

もう、自分がどうしているかわからない。

狂ったように腰を振る。

【瑛里華】「うんっ、一緒っ、もう少しでっ、ああっ」

【瑛里華】「ああっ、いっちゃ……んあっ、あっ、あっ、ああっ」

【瑛里華】「だめっ、だめっ、だめっ、孝平っ、ああっ、いやあっ」

【瑛里華】「あああっ、来るっ、なんか来てっ、あああっ、だめっ」

【瑛里華】「だめだめだめっ、あああぁぁっっ」

瑛里華の声が駆け上がった。

【孝平】「いくぞっ」

【瑛里華】「来てっ、ああっ、あ、あ、あ、あ」

【瑛里華】「ああっ、孝平っ、だめっ、あ、あ、あ、あ、あ、あ」

【瑛里華】「ああああああぁぁぁっっっ!」

ぎゅっと、膣が締まった。

慌てて腰を引く。

びゅくっ、どくっ!

どくっ、どくっ!

突き抜けるような快感と共に精液が飛び出し、瑛里華を汚していく。

【瑛里華】「あ……あ……う……」

瑛里華が痙攣する。

射精後の脱力感に、俺は瑛里華に覆い被さった。

汗に濡れた体がこすれ合う。

【孝平】「はぁ、はぁ……ヤバイ、これ」

【瑛里華】「ん……よ、かった?」

【孝平】「ああ、信じられないくらい。瑛里華は……」

【孝平】「……痛かったに決まってるよな」

【瑛里華】「う、うん……まあね」

本当なら気持ちよくなってもらいたいが、初めてじゃ仕方ないか。

【孝平】「すまない」

髪が張りついた瑛里華の顔をなでる。

【瑛里華】「ううん……」

瑛里華も、弱々しく手を伸ばし、俺の頭をなでてくれた。

【瑛里華】「いいの、痛くても幸せだから」

そう言って、笑みを浮かべる。

【孝平】「そっか」

俺が逆の立場なら、同じように笑えるだろうか。

【瑛里華】「ところで、さ」

【孝平】「なんだ?」

【瑛里華】「ほら……それ」

瑛里華が、恥ずかしそうに俺の股間を見る。

発射してなお、ギンギンにいきり立っていた。

【瑛里華】「まだ、足りてない?」

【孝平】「ま、まあ」

当然、足りていない。

もっと瑛里華とつながりたい。

【孝平】「いいのか?」

【瑛里華】「だって、それじゃしまえないでしょ?」

【孝平】「ああ」

【瑛里華】「ふふふ、いやらしい」

【孝平】「からかうなって」

【瑛里華】「いやらしい孝平は、からかわれたらどうするの?」

くすくす笑う。

【孝平】「……こうする、かな」

【瑛里華】「きゃっ」

瑛里華をうつ伏せにし、腰を持ち上げる。

【瑛里華】「やだ、恥ずかしいって」

四つんばいにさせた。

スカートをまくり上げると、どろどろの性器が顔を出した。

蜜壺からこぼれた液体が、内股を伝っている。

刺激が強すぎだ。

【孝平】「からかった罰だ」

瑛里華の後ろに立つ。

【瑛里華】「やっ、ちょっと」

【孝平】「逃げない」

瑛里華の腰を支える。

ゆらゆらとおしりが揺れ、むしろ卑猥に映る。

【瑛里華】「今回だけだからね」

【孝平】「どうしよっかな」

秘裂を指でこする。

【瑛里華】「ひゃっ」

【孝平】「できそう?」

瑛里華がうなずく。

【孝平】「じゃ、いくぞ」

どろどろの性器に棒を合わせる。

もう、一刻も早く入れたくて仕方がない。

くちっ

【瑛里華】「んっ」

先端をうずめる。

さっきよりは、かなりスムーズだ。

【孝平】「痛くないか?」

【瑛里華】「う、うん、さっきよりは」

【孝平】「奥まで入れるぞ」

ゆっくりと肉棒を埋め込んでいく。

【瑛里華】「ん、あ……く……」

狭い道をゆっくりと進んでいく。

ざわざわと亀頭を包み込む刺激が、とろけるような快感をもたらす。

時間をかけ、最奥に到達した。

【瑛里華】「あ、あぁ……」

瑛里華が大きく息を吐く。

熱い泥風呂に入っているような心地よさだ。

【孝平】「すごく気持ちいいぞ」

【瑛里華】「私も、なんか……お腹が熱い感じ」

こっちを見ようとして、体をねじる瑛里華。

膣壁が不意に動き、先の敏感な部分がこすれる。

【孝平】「う、やば……」

【瑛里華】「ん?」

【孝平】「なんでもない」

【瑛里華】「もしかして、気持ちよかった?」

瑛里華が腰を揺らす。

中身が不規則に揺れ、亀頭をこすってくる。

【孝平】「え、瑛里華、こら」

瑛里華の腰を手で固定する。

【孝平】「あんまり調子に乗ると……」

腰を引き出す。

【瑛里華】「あっ、ん……」

濡れた肉棒が、瑛里華の性器から顔を出す。

彼女の内側は濁りのないピンク色。

白く濁った愛液が、とろりとこぼれる。

【孝平】「っ」

再び突き入れる。

すぐに引き抜く。

【瑛里華】「あっ、やっ、急に、動かないでっ」

むしろペースを速める。

四つんばいの瑛里華を、力の限り突く。

【瑛里華】「あっ、ああっ、んっ、あっ」

すぐに、瑛里華の声から余裕が消えた。

すちゅっ、ぐちゅっ、ずちゅっ!

体液の飛沫が俺の股を汚していく。

瑛里華のスカートも、かなりべっとりだ。

その光景に頭がくらくらしてくる。

【瑛里華】「んっ、ああっ、やっ……」

【瑛里華】「ん……あ……んあっ……」

【瑛里華】「あん……あっ、あっ……ああっ……」

いつの間にか、瑛里華も自分の腰を前後させている。

俺が突くときには、お尻を突き出し、抜くときは引く。

自分から摩擦を強くするような動きだ。

【孝平】「腰、動いてるぞ」

【瑛里華】「や、やだっ、知らないから、あっ、ああっ」

こんな姿を学院の人たちが見たら、どう思うだろう。

あこがれの副会長が、今は、四つんばいで腰を振っている。

そんな劣情が、俺の動きを激しくする。

【瑛里華】「くっ、ああっ、だめっ、ぶつかってっ、あああっ」

【孝平】「我慢しなくて、いいぞ」

【瑛里華】「んっ、やっ、でもっ、顔が、見えないと……」

瑛里華が体をひねる。

亀頭が予想外の方向からこすられる。

【孝平】「う、動くなって」

さらに激しく突く。

【瑛里華】「やあぁっ」

【瑛里華】「あっ……あ、あ、あ、あ、だめ……だめっ」

快感にゆがんだ瑛里華の顔が少しだけ見えた。

見たこともない表情に、肉棒が硬度を増す。

【瑛里華】「やっ、おっきく、ああああっ」

【瑛里華】「やっ、来るっ、だめっ、だめだめだめっ」

瑛里華が前のめりになり、シーツを握りしめる。

背中に覆い被さり、思い切り腰を振る。

こっちも、限界が近い。

【瑛里華】「孝平っ、あっ、ああっ、なんか来るっ、ああっ」

【瑛里華】「うあっ、あっ、あっ、あっ、あっ、やっ、孝平っ!」

【瑛里華】「やっ、あぁっ、だめっ、だめっ、あ、あ、あ、あ、あ、あっ」

【瑛里華】「ほんと、だめっ……あ、あ、あ、あ……うああああぁぁぁぁぁぁっっ!」

泣き出しそうな声を上げ、瑛里華が体を硬直させる。

同時に、肉棒全体が締め付けられた。

無数のヒダが、カリの裏側をずるりとこすり上げる。

【孝平】「くっ」

一瞬、目の前が白くなった。

どくっ、びくっ

びゅっ、どぴゅっ

射精感が何度もペニスを駆け上がっていく。

【孝平】「っ……」

快感に声も出ない。

すごすぎる、これは……。

突き刺したまま、瑛里華の上にぐったりと覆いかぶさる。

【瑛里華】「ぁ……っ……あ……あ……」

瑛里華は、まだ息もできず体を震わせている。

そんな彼女を、背中からぎゅっと抱きしめた。

【瑛里華】「はぁ、はぁ、はぁ……こ、孝平」

【孝平】「すごい、良かった」

【瑛里華】「う、うん……わ、私も……」

そのまま口も利けず、瑛里華を背後から抱き続ける。

二人とも汗びっしょりだった。

瑛里華の美しい髪も、体に貼りついている。

【孝平】「動けそうか?」

【瑛里華】「あ、うん……もう少し、したら」

ふと、俺たちがつながったままだったことに気がつく。

【孝平】「あ……」

さっと血の気が引いた。

慌てて、ペニスを抜く。

【瑛里華】「あ、やっ……」

瑛里華がお尻をくねらせる。

膣口から白濁した液体が流れ出し、シーツに垂れた。

【瑛里華】「ふふふ……ずいぶん出したわね」

【孝平】「すまん」

ティッシュを取り、瑛里華のそこを優しくふいた。

白い液体には、わずかに血が混じっている。

【瑛里華】「ありがとう」

【孝平】「いいって」

瑛里華と目が合う。

【瑛里華】「後悔してる?」

【孝平】「まさか」

【孝平】「後悔したことなんてこれぽっちもないさ」

【瑛里華】「そう、よかった」

瑛里華が優しく笑う。

【瑛里華】「あ、そうだ、お風呂借りていい?」

【孝平】「ああ、遠慮なく使ってくれ」

【孝平】「タオルは横の棚に入ってるから」

【瑛里華】「じゃ、ちょっと借りるね」

//H-scene ends//

瑛里華が浴室に向かう。

部屋には、汗と体液の臭いが充満している。

いわゆる情事の後というのは、こういうものか。

嬉しいような恥ずかしいような気分になる。

とりあえずは片づけだ。

しばらくして、瑛里華が風呂から出てきた。

【瑛里華】「お風呂ありがと」

【孝平】「ああ」

【瑛里華】「悪いけど、今日は泊めてね」

【瑛里華】「もう、消灯時間過ぎてるし」

時計を見る。

瑛里華が来てから、ずいぶん時間が経っていた。

【孝平】「喜んで」

【孝平】「じゃ、俺も風呂入ってくるよ」

と、風呂に向かったところで、手を握られた。

【孝平】「どうした?」

【瑛里華】「あの……」

【瑛里華】「一人で、ベッドにいるの寂しいから」

【孝平】「わかった」

瑛里華の頭をなで、二人でベッドに向かう。

ベッドの中で向かい合う。

瑛里華は、俺の胸に顔をうずめた。

【瑛里華】「後悔してる?」

【孝平】「まさか、今までで一番嬉しいさ」

【孝平】「瑛里華は?」

【瑛里華】「後悔するくらいなら、ここにこないわ」

瑛里華の額にキスをする。

【瑛里華】「離れないでね」

そういって、瑛里華は目をつぶった。

【孝平】「離れないさ」

瑛里華の頭を撫でる。

今日は、眠るまで撫でていようと決めた。

ふと、物音がして目が覚めた。

ベッドに、瑛里華がいない。

彼女が寝たところまでは見届けたはずだが……。

起きたら女がいない。

ドラマとかでよくあるパターンか?

【孝平】「……」

その心配は杞憂に終わった。

窓際に瑛里華が立っていたからだ。

窓を開け、外を見つめている。

【孝平】「瑛里華、どうした?」

【瑛里華】「あ、起こしちゃった」

瑛里華が振り返る。

悲しいような、辛いような顔をしていた。

【孝平】「何かあったのか?」

【瑛里華】「ちょっと、血が……ね」

【孝平】「また、欲しくなったのか?」

【瑛里華】「大丈夫、もう収まるわ」

【瑛里華】「ごめんなさい、せっかくの夜なのに」

【孝平】「いいさ」

【孝平】「仕方がないことだろ?」

応えず、瑛里華はただ笑う。

【孝平】「輸血用の血、俺の部屋にも置いた方がいいな」

【孝平】「今度、持ってこいよ」

【瑛里華】「ええ、そうね」

そう言ったものの、いまいち気乗りしてないように見える。

【瑛里華】「最近ね、輸血用血液を飲んでも、ダメなの」

【孝平】「ダメってのは?」

【瑛里華】「満足できないのよ」

【孝平】「飯食っても、腹がいっぱいにならないってことか」

【瑛里華】「人に例えれば、そうね」

【孝平】「どうして」

【瑛里華】「私にもわからないわ」

【瑛里華】「どうして自分が血を欲しくなるのか、それ自体がわからないんだから」

輸血用血液を飲んでも、欲求が満たされない。

その先にあるのは何か。

やはり、人間から血を吸うことなのか。

【孝平】「なあ、瑛里華」

【孝平】「これを言ったら、怒るとは思うけど」

【孝平】「本当にヤバくなったら、吸ってくれていいんだぞ」

何かを考えるように、視線を落とす瑛里華。

【瑛里華】「気持ちは嬉しいわ」

【瑛里華】「だけど、吸ってしまったら私は……」

【孝平】「でも、吸われても害はないんだろ?」

【孝平】「それに、どうせ吸うなら、俺のを吸ってくれ」

【孝平】「瑛里華が他人の血を吸ってるの想像すると……ちょっとな」

瑛里華を元気づけたくて、軽口をたたく。

【瑛里華】「ありがとう」

瑛里華がベッドに戻ってくる。

掛け布団を上げ、彼女を迎え入れた。

【瑛里華】「あったかい」

瑛里華が胸にしがみつく。

とても、小さく見える。

【孝平】「前から聞こうって思ってたんだけど」

【孝平】「卒業したら、屋敷に戻るって言ってたよな」

【瑛里華】「ええ」

ぎゅっと身を縮こまらせる。

【孝平】「それってどうしてなんだ?」

【孝平】「なんの理由もなく屋敷に戻れなんて、おかしいだろ?」

【瑛里華】「理由なんてないわ」

【瑛里華】「強いて言えば、あの人がそう決めたからよ」

【孝平】「あの人ってのは、親か?」

【瑛里華】「ええ」

【孝平】「そんなの無視しちまえよ。いくら親でもありえないだろ」

【瑛里華】「無理よ」

【孝平】「どうして? なんで諦める」

【瑛里華】「そういう、しきたりなの」

【孝平】「しきたりって、大昔だったらわかるけど」

【瑛里華】「ごめんなさい」

それ以上の会話を拒絶するように、瑛里華は言った。

【孝平】「……」

どうして黙ってしまうんだ。

俺にできることならなんでもしたい。

理不尽なしきたりなんか、ブチ破ってやりたい。

だけど、瑛里華にその気がなかったらどうしようもない。

もっと話を聞きたい。

屋敷に戻る条件があるなら、やりようはある。

どうしても条件を満たせないなら、最悪、駆け落ちみたいな手段だってあるかもしれない。

どうやったら話してくれるのか……。

//Another view : Erika//

孝平の寝息が聞こえる。

せっかくの夜なのに、自分は何をしているんだろう。

謝りたいことばかりが、胸の中に積もっていく。

こうして抱いてくれたというのに、ぬぐえない不安。

親しくなればなるほど高まる血への欲求。

先がないという裏切り。

自由になる条件はある。

でも、それを孝平に言うわけにはいかない。

結局は私のわがままだ。

【瑛里華】「ごめんなさい」

小さく呟く。

【孝平】「ん……」

孝平の優しい寝顔。

この優しさに救われて、守られて、ここにいる。

なのに彼を裏切り続けている。

どうすればいいんだろう。

そんなことは何度も考えてきた。

でも踏み出せない。

本当に意気地なしだ。

//Another view ends//