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//September 20//

【孝平】「おはよー」

【陽菜】「おはよう」

【司】「おう」

【陽菜】「よかった、風邪治ったんだ」

【陽菜】「ずっと休んでたから心配しちゃったよ」

【孝平】「ちょっとこじらせたみたいでさ、40℃までいったよ」

【孝平】「ま、もう完全復帰だ」

【桐葉】「支倉君も風邪引くのね」

【孝平】「おいこら」

風邪をひいたというのは嘘だ。

瑛里華によると、血を飲んでからの俺はずっと眠りっぱなしだったらしい。

屋敷に行ったのが月曜日の夜。

瑛里華の血を飲まされ、目を覚ましたのが金曜日。

そして今日は土曜日。

4日間の欠席については、瑛里華の配慮で風邪をこじらせたことになっていた。

【司】「昼飯おごるのが、そんなに嫌だったのか?」

【孝平】「ただの風邪だって」

【孝平】「約束は覚えてる」

昼飯か。

懐かしいような、寂しいような気分になる。

目を覚ましたその日から、俺はほとんど味を感じなくなっていた。

ラーメンを食っても、わずかにしょっぱく感じるくらいだ。

原因はおそらく眷属になったからだ。

先日の瑛里華の説明を思い出す。

【孝平】「そろそろ、眷属のこと聞いてもいいか?」

【孝平】「明日からどんなふうに生活したらいいかわからないし」

【瑛里華】「そうね、説明しておくわ」

ベッドに腰を下ろしていた瑛里華の表情が引き締まる。

【瑛里華】「初めに謝っておかないといけないんだけど……」

瑛里華が言いよどむ。

【孝平】「遠慮しないで言ってくれよ」

【瑛里華】「ええ……」

【瑛里華】「実は、眷属について細かいことはわかっていないの」

【瑛里華】「これから教えることも、兄さんから聞いた話だから」

【孝平】「俺以外に眷属っていないのか?」

【瑛里華】「私は見たことないわ」

【瑛里華】「兄さんは昔見たことがあるみたいだけど、あまり話さなかったみたいで」

【孝平】「そうか……まあ、わかってる範囲でいいよ」

【瑛里華】「ごめんなさいね」

申し訳なさそうに視線を落とし、瑛里華が再び口を開く。

【瑛里華】「まず、眷属には寿命がないわ、身体能力も高いし、怪我をしてもすぐに治る」

【瑛里華】「これは私たちと同じね」

【孝平】「……」

寿命がない……。

つまり俺は、もう死ぬことがない。

突然すぎて実感は湧かないが、少なくとも嬉しいとは思わなかった。

【孝平】「俺もやっぱり血を吸いたくなるのか?」

【瑛里華】「その必要はないみたい」

【瑛里華】「普通の人間と同じように食事をするらしいわ」

【孝平】「そうなのか」

【瑛里華】「ただ……」

【孝平】「なんかあるのか?」

【瑛里華】「一番よくわかってない部分なんだけど、定期的に活動が止まるみたいなの」

【孝平】「止まるって……どうなるんだ?」

【瑛里華】「ごめんなさい、わからないのよ」

【孝平】「……」

自分で確かめるしかないのか。

マジで怖いぞ。

【瑛里華】「それで、もう一つあるんだけど……」

声のトーンが落ちる。

瑛里華は、沈痛な面持ちで床を見つめている。

【孝平】「言ってくれ、知らなくちゃいけないことなんだろ?」

なおも視線を上げない瑛里華。

そのまま口を開いた。

【瑛里華】「眷属はね、主の命令に逆らえないの」

【孝平】「主っていうのは?」

【瑛里華】「血を与えた吸血鬼……つまり私よ」

【陽菜】「……孝平くん」

いきなり現実に戻された。

【孝平】「あ、ああ……なんだっけ?」

【陽菜】「千堂さんにお礼言った?」

【孝平】「お礼? なんの?」

【陽菜】「ずっと看病してくれてたんだよ、千堂さん」

【司】「つきっきりだ」

【孝平】「そうだったのか……」

考えてなかった。

俺の傷がふさがるまでは、いろいろ治療もしてくれたのかもしれない。

ただ寝てるだけの男を、風邪に見せかけるのだって大変だ。

そして何より──

瑛里華は、ひたすら自分を責め続けたに違いない。

体力はあるといっても、心は人間と同じ。

彼女の苦悩を思うと胸が痛い。

ちゃんとお礼を言わないと。

【孝平】「がっちりお礼する」

【陽菜】「デート一回じゃ足りないよ」

陽菜が笑う。

【孝平】「ああ」

入口のドアが開き、アオノリが入ってきた。

【青砥】「よーし。みんな席に着けー」

【青砥】「お、支倉来たか」

【孝平】「はい、もう元気です」

【青砥】「文化祭で無茶するからだぞ」

【孝平】「いやあ、あはははは」

こうして、以前と変わらない日常へ俺は戻っていった。

放課後。

俺と瑛里華は監督生室に向かった。

なんだか、久しぶりな気がする。

【孝平】「ちわす」

【伊織】「おお、支倉君」

【征一郎】「いろいろと大変だったな、支倉」

みんなが笑顔で迎えてくれる。

今まで通りの雰囲気に、自分が変わったという実感が湧かない。

【伊織】「どうだい調子は?」

【孝平】「おかげさまで元気です」

【孝平】「もう傷もふさがりましたし」

【白】「支倉先輩、お茶をどうぞ」

【孝平】「さんきゅー」

【白】「あ……」

お茶を出してくれた白ちゃんが、何か言いたげに俺を見る。

【孝平】「どうかした?」

【白】「え? い、いえ……なんでもありません」

【白】「あの……支倉先輩が元気になられてよかったです」

【孝平】「ああ、ありがと」

笑顔で答え、湯飲みを口に持っていく。

豊かな緑茶の香り。

少し熱めの温度。

ただ、味はしない。

この一点が俺に現実を教えてくれる。

【瑛里華】「……ごめんね、孝平」

俺の気持ちを察したのか、瑛里華が言う。

【孝平】「気にするなって」

【瑛里華】「う、うん」

しゅんとする瑛里華。

【伊織】「まさかこんなことになるとはね」

【孝平】「ま、仕方ないですよ」

【孝平】「それに俺は後悔してないですし」

【孝平】「館の場所を教えてくれたのには、感謝してます」

【伊織】「そう言ってくれると助かる」

【伊織】「いやもう、あれからが大変でさ。瑛里華に殺されるかと思ったよ」

【瑛里華】「殺せなくて残念だわ」

【瑛里華】「あの人に直接会わせるなんて、どうかしてるわよ」

【孝平】「まあまあ」

なぜか俺が場を取り持っている。

【孝平】「そういえば、お母さんは今どうしてるんだ?」

【瑛里華】「知らないわ、屋敷にいるんじゃないかしら」

【伊織】「今回のことも、すでに忘れてるかもね」

【伊織】「これ以上、関わり合わないのが一番だよ」

【孝平】「……わかりました」

【征一郎】「伊織、選挙の話はもう伝えたのか?」

【伊織】「ああ、忘れてた」

俺も忘れてた。

【伊織】「次期の生徒会役員なんだけど……」

【伊織】「会長は瑛里華、副会長は支倉君、財務は白ちゃんで届けを出すことにしたよ」

【孝平】「副会長、ですか」

【伊織】「会長がよかった?」

【孝平】「あー、いや、信任選挙大丈夫ですかね」

【伊織】「大丈夫、大丈夫」

【伊織】「文化祭の花火が大好評でね」

【征一郎】「事前に許可を取っていればもっとよかった」

【伊織】「落下傘もバッチリ拾ったし」

【孝平】「生徒会役員向けじゃないんですが……」

【瑛里華】「やっぱり、そうよね」

【孝平】「ん? どうした?」

【瑛里華】「な、なんでもないわ」

【伊織】「ともかく、生徒諸君からの支持は確実だ」

【伊織】「大船に乗ったつもりで選挙に臨んでくれ」

【孝平】「了解です」

【瑛里華】「じゃ、話はそんなところ?」

【伊織】「ああ。もう帰ってくれて構わないよ」

【瑛里華】「ですって」

俺を見て、瑛里華が言う。

【孝平】「いや、でも仕事とか」

【瑛里華】「改選前だから、この時期は仕事がないの」

【瑛里華】「それに、今週くらいは様子を見ておいたほうがいいわ」

【伊織】「無責任な話なんだが、俺たちも眷属のことはよくわからないんだ」

【伊織】「だから、なんともアドバイスしにくいところがあってね」

【孝平】「そうでしたか……わかりました」

【孝平】「気づいたことは、できるだけ報告するようにします」

【伊織】「頼んだよ」

【伊織】「眷属学の未来を作るのは支倉君だ!」

【孝平】「そんな学問いりませんから」

//Erika's ending//

信任選挙を経て、俺は副会長になった。

会長の言葉どおり、不信任に投票する人はほとんどゼロ。

会長や白ちゃんも同じような結果で信任。

新生徒会にとっては理想的な船出となった。

俺が眷属になってから、瑛里華は毎日俺の部屋に顔を出す。

いつの間にか瑛里華の私物も増え、ほとんど通い妻状態だ。

お茶会を開催したときなど──

【陽菜】「そろそろ、別の会場を探した方がいいんじゃ……」

【司】「そうなあ」

【かなで】「わたしたちも、負けずにもっと私物を置けばいいんだよっ!」

【孝平】「勘弁してください」

などと騒がしい。

今日も今日とて、瑛里華は教科書を読みながらお茶を飲んでいる。

【瑛里華】「体育の授業はどう?」

【孝平】「ああ、ずいぶん慣れた」

【孝平】「サッカーは注意しないとヤバいな。熱中すると思わず力が入るからさ」

眷属になって一番苦労しているのは、力の制御だった。

本気を出した日には、オリンピック選手にスカウトされかねない。

【孝平】「瑛里華も会長も、よくコントロールできてるよな」

【瑛里華】「私たちは生まれつきだしね」

【瑛里華】「これをするには、このくらいの力加減っていうのが染みついてるから」

【孝平】「ま、そうか」

【瑛里華】「孝平もだんだん慣れてくるとは思うけど」

【孝平】「やっぱ心配でさ」

【瑛里華】「大丈夫だって」

【瑛里華】「そもそも、吸血鬼が実在するなんて誰も思ってないから」

【瑛里華】「たまにすごい力を出しても、目の錯覚で片付いちゃうものよ」

【孝平】「まあ学院の方はそれでいいんだけど……」

【瑛里華】「他に何かあるの?」

【孝平】「あの時とか、痛くないか?」

【瑛里華】「あの時って?」

【孝平】「主にベッドの上でするヤツ」

【孝平】「力を制御できてる自信ないんだけど」

【瑛里華】「そーいうこと、いきなり言 わ な い の」

ほっぺたをつねられた。

【瑛里華】「あ……」

【瑛里華】「ご、ごめん」

瑛里華の手から力が抜ける。

俺のほっぺたの強度を気にしたからではない。

【孝平】「大丈夫だ」

瑛里華の手を握る。

【孝平】「気にするなって」

【瑛里華】「あ、うん……」

瑛里華が気にしているのは、眷属が主の命令に逆らえないことだ。

俺が眷属になってからというもの、彼女は命令口調を避けている。

【孝平】「瑛里華、気にしすぎだ」

【瑛里華】「でも……」

瑛里華の隣に移動する。

できるだけ優しく肩を抱く。

【孝平】「心配するなよ」

【孝平】「仮に逆らえないような命令をされても、怒らないから」

【瑛里華】「違うのよ」

【瑛里華】「私が怖いのは自分自身なの」

瑛里華が視線を落とす。

【孝平】「どういうこと?」

【瑛里華】「もしも孝平が離れていきそうになったとき、私は自分のそばから離れないように命令するかもしれないわ」

【瑛里華】「もしかしたら、私を愛するように命令するかもしれない」

【瑛里華】「一度命令の味を知ってしまったら、いつかは孝平を完全にコントロールしたくなってしまう気がして」

【瑛里華】「それが、怖いのよ」

痛切な言葉が流れる。

俺は、すぐに答えを返せない。

【瑛里華】「私がどうして孝平を眷属にしたくなかったかわかる?」

【孝平】「人生が変わっちまうからか?」

【瑛里華】「それはもちろんあるわ」

【瑛里華】「でも、本当はね……」

そこでいったん言葉を切る。

【瑛里華】「自分勝手なこと言うけど、いい?」

【孝平】「ああ」

【瑛里華】「あのね、私はいつでも孝平に好かれてるって感じたいの」

瑛里華が俺の目を見て言う。

【瑛里華】「他人の気持ちはわからないわ」

【瑛里華】「でも、だからこそ期待する言葉をもらえたときが嬉しいのよ」

【瑛里華】「だから、孝平を眷属にしたくなかったの」

【瑛里華】「好きだって言われたときの嬉しさを失いたくなかったから」

【孝平】「瑛里華……」

【瑛里華】「100%、私のわがままだけど、孝平には私を選んでほしいの」

【瑛里華】「選ばせたいわけではないのよ」

そこまで言って、瑛里華は息をついた。

【瑛里華】「私は孝平の主になりたいわけじゃないから」

【瑛里華】「普通の恋人同士でありたいの、これからもずっと」

けっこう、来るものがあった。

こんなに人から想われるなんて、自分はどれだけ幸せものなんだろう。

【孝平】「瑛里華がそんな風に考えてるなんて知らなかった」

【孝平】「ごめんな瑛里華」

【瑛里華】「いいのよ、私も言ってなかったから」

【瑛里華】「ちょっと恥ずかしいしね」

照れ隠しなのか、瑛里華は俺の額に軽くキスをした。

【瑛里華】「それに、孝平が私の意志通りに動くようになっちゃったら……」

【瑛里華】「今みたいに、気持ちを知ってもらえた時も、嬉しくなくなっちゃうでしょ?」

そうだ。

いま自分は、瑛里華の気持ちを知って嬉しい。

いつでも命令すれば相手の気持ちを知ることができるとしたら……。

この胸の温かさも忘れてしまうかもしれない。

【孝平】「そうだよな、わからないからいいんだよな」

【瑛里華】「うん、そう思う」

瑛里華の頬を撫でる。

手の動きを感じるように、目を閉じた。

そして、俺の手のひらにキスをする。

なんてかわいいんだろう。

恥じらいもなくストレートにそう思う。

瑛里華の顎を指先で軽く支える。

【瑛里華】「あ……」

瑛里華がうっすらと目を開ける。

瞳が潤んでいた。

【孝平】「瑛里華。好きだよ」

【瑛里華】「うん」

ゆっくりと唇を重ねる。

【瑛里華】「ん……孝平……」

唇の熱さが、じわりと伝わってくる。

胸の中まで伝わるような熱だ。

【瑛里華】「好きよ、好き……」

呟くように瑛里華が言う。

【孝平】「俺もだ」

優しく瑛里華の下唇を、俺の唇で挟む。

【瑛里華】「んっ……ちゅっ……」

瑛里華も俺の動きに応える。

何度も何度も、顔の角度を変えながら唇をついばみ合う。

互いの息が絡み合う。

【瑛里華】「孝平」

瑛里華が俺の唇を完全にふさいだ。

間髪入れずに、舌が入り込んでくる。

唾液が口内に流れ込んだ。

【瑛里華】「んっ……くちゅ……孝平……」

瑛里華の舌が口の中をまさぐる。

その動きはいつになく情熱的だ。

負けじと俺も舌を動かす。

【瑛里華】「んむっ……あっ、くちゅっ……ちゅっ」

唇が離れる。

それでも瑛里華は舌を伸ばす。

空中で俺たちの舌が絡み合う。

【瑛里華】「はぁ、んっ……はぁ……」

熱い息が顔にかかる。

【孝平】「そ、そう言えばさ」

【孝平】「文化祭の準備の日に、監督生室でしたよな」

【瑛里華】「くちゅ……ん……う、うん」

【孝平】「あのとき、文化祭の企画が成功したらまたしようって言っただろ」

【瑛里華】「……よく覚えてるわね」

少し寂しそうな顔をする瑛里華。

あのとき、瑛里華はもう屋敷に戻ると決めていた。

つまり、優しい嘘だったんだ。

【孝平】「またできて、よかった」

【瑛里華】「孝平……」

再び瑛里華が俺の口をふさいだ。

【瑛里華】「くちゅっ……んっ、孝平……ぴちゅっ」

派手に水音が立つ。

気がつくと、瑛里華の指がシャツのボタンにかかっていた。

あっという間に、一つ、二つと外される。

【孝平】「くっ」

大きく開いた胸に、瑛里華の手が滑り込んできた。

予想外の攻撃に体が震える。

【瑛里華】「ふふ、ぴくっていった」

瑛里華の瞳が扇情的な色に揺れる。

【瑛里華】「今日は……させて」

ぞくりとするような笑みを浮かべ、瑛里華が俺のシャツを脱がせた。

【孝平】「ど、どうするんだ?」

【瑛里華】「どうすると思う?」

瑛里華の手が俺の膝に置かれた。

内腿をくすぐりながら、ゆっくりと股間に近づいてくる。

【孝平】「お、おい、いたずら……するなって」

【瑛里華】「恥ずかしがらないの」

瑛里華の手が股間を覆った。

もみほぐすように、そこが刺激される。

やばっ。

止めるまもなくペニスに血が集まる。

【瑛里華】「あ……気持ちいいんだ」

指先が棹をつかむ。

上下にゆっくりと動く。

【孝平】「くっ……っ……」

爪でカリの裏側がくすぐられる。

【孝平】「どこでこんなの……覚えるんだ……」

【瑛里華】「顔見てると、なんとなくわかるの」

【孝平】「ほんと、かよ……」

【瑛里華】「ほんと」

今度は亀頭を5本の指先でつまみ、くりくりと回転させてきた。

【孝平】「やば、いって」

【瑛里華】「もうパンパンね、苦しくない?」

【孝平】「苦しい、かも」

【瑛里華】「じゃ」

瑛里華の手がチャックにかかる。

ゆっくりとじらすように下ろされていく。

//H-scene starts//

トランクスを押し下げ、カチカチのペニスが引きずり出された。

先端からは、既に液体がにじみ出している。

【瑛里華】「こら、元気すぎ」

【孝平】「しょうがないだろ、瑛里華がエロいんだから」

【瑛里華】「ひどいこと言わないの」

しなやかな指が、先走りを亀頭に伸ばしていく。

ぴりぴりとした刺激が下半身を襲った。

【孝平】「くっ」

【瑛里華】「かーわいっ」

笑いながらも瑛里華の手は止まらない。

亀頭やカリを、くりゅくりゅとこね回してくる。

【孝平】「……」

このままじゃ、あっという間にいかされてしまう。

瑛里華の乳房に手を伸ばす。

【瑛里華】「私はいいの」

たしなめるように、瑛里華が俺に身体を寄せた。

【瑛里華】「今はさせて」

俺の胸に、柔らかな乳房が押しつけられる。

【瑛里華】「時間稼ぎ、しようとしたでしょ?」

バレた。

【孝平】「どうかな」

【瑛里華】「とぼけても無駄よ」

再び瑛里華の手がペニスをつかむ。

【瑛里華】「ずるい孝平にはおしおきね」

言うなり手が動きだす。

握りはきつすぎず弱すぎず。

指の腹が順々にカリをこすっていく。

【孝平】「ぅ……ぁ……」

【瑛里華】「気持ちいい?」

耳元でささやかれる。

それすら快感となり、肉棒はいっそう硬度を増す。

【瑛里華】「いいのね」

上下する手に回転が加わる。

自分でするときの刺激とは比べものにならない。

びくりびくりとペニスが脈打ち始める。

【孝平】「え……り、か……」

【瑛里華】「かわいい顔してるよ、孝平」

【孝平】「こ、ら……」

先端からは次々と先走りが溢れてくる。

瑛里華がそれを指で取り、棹や亀頭になじませる。

滑りが良くなった分身をさらに早くこすり上げる。

腰のあたりがモヤモヤしてきた。

【瑛里華】「もっと気持ちよくなって」

そう言って、唇を重ねてきた。

軽く握られた白い指のトンネルを、俺の肉棒が激しく出入りする。

指の凹凸が裏筋やカリをコロコロと転がす。

【孝平】「ぐ……」

【瑛里華】「感じると、そういう顔するんだ」

【瑛里華】「もっといい顔見せて」

熱い息が耳にかかる。

俺をこすりながら、瑛里華も興奮しているんだ。

【瑛里華】「ほら、ほーら……」

瑛里華の手がすぼめられ、四方から亀頭が圧迫される。

そのままの状態で、手の動きはさらに速度を増す。

【孝平】「っっ!」

甘い痛みと快感が突き抜ける。

限界が見えてきた。

【瑛里華】「遠慮しないで」

瑛里華が、人差し指と親指で輪っかを作る。

それを出っ張りの下に当て、きゅっと締めた。

そして、手を振動させてくる。

【孝平】「っ、ぁっ……うっ……」

腰が揺れる。

恥ずかしいが止められない。

精液が上昇してくるのがわかる。

【孝平】「そろそろ、ヤバい、かも」

【瑛里華】「ほーら、出して」

手が速度を増す。

もう、だめだ。

【孝平】「そろそろ、うっ……っ」

【瑛里華】「好きなときに、いいよ」

手がペニス全体を包み、激しく上下する。

熱いものが、一気に駆け上がる。

【孝平】「くっ」

突き上げるような快感が体を走る。

びゅくっ、びくびくっ!

びゅっ、びゅくっ、びゅっっ!!

【瑛里華】「きゃっ」

瑛里華に握られたまま、どろっとした液体を吐き出した。

あまりの快感に、しばらく息ができない。

【瑛里華】「すごいわね」

瑛里華が手についた白濁を亀頭にこすりつける。

達したばかりのそこが、ぴくぴく震えた。

【孝平】「ごめん……汚した」

【瑛里華】「いいよ気にしないで」

瑛里華が笑う。

【瑛里華】「気持ち良くなってくれた?」

【孝平】「ああ、すごく良かった」

【瑛里華】「そっか、安心した」

【孝平】「ありがとう」

【瑛里華】「こういうの、今日だけだからね」

【瑛里華】「いやらしい子だって思わないで」

【孝平】「エッチな子は好きだぞ」

【瑛里華】「調子に乗らないの」

頬をつままれた。

【孝平】「じゃ、今度はお返しさせてもらうぞ」

【瑛里華】「え、いいって」

//H-scene ends//

【孝平】「だめだって」

瑛里華を半分抱き上げながらベッドへ移動する。

【孝平】「はい、到着」

瑛里華をベッドに座らせる。

【瑛里華】「襲われる~」

瑛里華がおどけて言う。

【孝平】「襲わないって」

シャツとズボンを脱ぎ、瑛里華の隣に腰を下ろす。

枕元のティッシュを取る。

【孝平】「ほら、顔」

【瑛里華】「ん……」

【瑛里華】「ありがとう」

【孝平】「こっちこそ」

瑛里華の肩をつかみ、唇を寄せる。

【瑛里華】「孝平……ちゅ、んっ」

キスをしたまま、ゆっくりと瑛里華を寝かす。

//H-scene starts//

【孝平】「かわいいよ」

【瑛里華】「な、何をいまさら」

そう言いながらはにかむ。

【孝平】「ほんとだって」

首筋に口づける。

【瑛里華】「ひゃっ……」

【孝平】「ほら、かわいい」

【瑛里華】「もー、やだ」

俺の胸に頭をぶつけてくる。

【孝平】「こら、頭突きするなって」

【瑛里華】「恥ずかしいでしょ、もう」

さっきはあんなに積極的だったのに、今度は恥ずかしがってる。

そんなところもかわいらしい。

【孝平】「瑛里華」

首筋にキスをする。

そのまま舌を出し、ゆっくりと鎖骨に下りていく。

【瑛里華】「んっ、あっ」

ぴくりと体が震える。

瑛里華の体を引き離しながら、胸元へと移動していく。

肌にすっと鳥肌が立ち、すぐに汗ばんできた。

【孝平】「胸、触るぞ」

【瑛里華】「う、うん」

目をつむったまま、瑛里華が答える。

俺は両方の手でふっくらとした乳房を手で包んだ。

【瑛里華】「あ……う……」

マシュマロのような質感は相変わらずだ。

力を入れた分だけ形を変える。

【孝平】「柔らかくて、気持ちいいな」

【瑛里華】「ん、そ、そう?」

【孝平】「ああ」

乳房の中身を温めるように、ゆっくりと円運動させる。

【瑛里華】「なんだか……優しい」

うっとりとした声だ。

【孝平】「さっきのお礼だから」

目の前で揺れるうなじに舌をつける。

【瑛里華】「んんっ」

産毛の存在を舌先に感じながら、襟足をなぞっていく。

【瑛里華】「あっ、くすぐったいよ、孝平」

抗議の声を聞き流しつつ、胸の突起を探す。

指先にそれが触れた。

【瑛里華】「んっ、あっ」

やっぱり瑛里華はここが敏感だ。

他とは反応が違う。

【孝平】「ここ好き?」

耳元でささやく。

【瑛里華】「し、知らないわよ」

【孝平】「嘘つきだな」

耳たぶを甘くかむ。

【瑛里華】「ひゃうっ」

【瑛里華】「や、やだ……」

【孝平】「嘘つくからだ」

再び胸の突起を攻める。

指の腹で優しくつまみ、ころころと転がす。

【瑛里華】「っ……あっ、うっ……やっ」

【瑛里華】「やだっ、だめっ……あっ、あ、あ、あ」

瑛里華が痙攣する。

【孝平】「ここ、好きだよな……瑛里華」

【瑛里華】「んっ、あっ、うっ」

返事もできず、必死にうなずいている。

手のひらで乳房を包み、大きく揺り動かしていく。

【瑛里華】「やっ、あっ、あっ……あっ、くうっ」

声が高くなっていく。

【瑛里華】「やっ、あっ、あ、あ……」

きゅっと乳首を押しつぶした。

【瑛里華】「ひうっ、あ、あ、あ……やああぁぁぁっ」

びくりと瑛里華が震えた。

そして、くたりと力が抜ける。

【瑛里華】「はぁ……はぁ、はぁ……」

軽く達してしまったらしい。

胸だけでいくなんて……すごい感度だ。

【孝平】「どうだった?」

【瑛里華】「孝平……」

聞こえているのか微妙だ。

俺は手を下に伸ばしていく。

【孝平】「まだ終わりじゃないぞ」

脚の間に手を入れる。

熱がこもり、じっとりと汗に濡れている。

【瑛里華】「んっ……あ……」

そのまま手を滑らせ、股間まで持っていく。

指先が秘所に触れた。

ぬるり。

指先が抵抗なく滑る。

中から愛液がしみ出しているのだ。

【孝平】「すごい濡れてるよ」

【瑛里華】「や、やだ、言わないで」

【孝平】「ほら」

指を瑛里華に見せる。

【瑛里華】「や、やだって……」

瑛里華が俺の指を手で握って隠す。

仕方がないので、もう片方の手を股間に持っていく。

中指を秘裂に当て奥を探る。

【瑛里華】「ああっ……あっ、やっ」

ぎゅっと身を縮める瑛里華。

すでに濡れそぼったそこは、下着ごと指を吸いこんでいく。

くちっ、くちっ。

湿った音が聞こえる。

中の状況を想像すると、否応なしにペニスが硬くなってくる。

【瑛里華】「あ……孝平、お尻に当たって……」

【孝平】「硬くなってるだろ」

【瑛里華】「う、うん……」

中指を第一関節まで埋め、親指はクリトリスに当てる。

そのまま、マッサージ器のように振動させる。

【瑛里華】「あああっ、やっ、だめっ……あ、あ、あ、あ」

びくびくと瑛里華が震えた。

【瑛里華】「やだっ、だめっ……あっ、んあっ」

【瑛里華】「それ、すぐいっちゃうっからっ……だめっ、だめだめっ」

いやいやと首を振る瑛里華。

そんな反応をされると、いかせてみたくなる。

さらに強く手を振るわす。

【瑛里華】「ひゃうっ、あああっ……やっ……ああああっ」

声がうわずる。

瑛里華が捕まえていた俺の手が自由になった。

【瑛里華】「もうっ、だめっ……いくっ、いくよ……孝平っ」

すかさず胸に持っていく。

乳首をつまみ、きゅっとひねる。

【瑛里華】「やっ、あ、あ、あ、あ……ひゃうっ、ああああぁぁぁっっっ!!」

中に入れていた指が圧迫される。

下着の濡れが広がった。

【瑛里華】「あ……あ……あ……」

取り残されたような声を出し、瑛里華の体から力が抜けた。

2回目の絶頂に息が上がっている。

すごいな、今日の瑛里華……。

秘所を触っていた手は、見なくてもわかるほど濡れている。

そろそろ俺も我慢できなくなってきた。

【孝平】「瑛里華、いい?」

【瑛里華】「……え?」

【孝平】「ほら」

瑛里華の手を取り俺の分身を触らせる。

【瑛里華】「あはは……元気」

【孝平】「じゃ、下着取るよ」

手をパンツの中に入れる。

【瑛里華】「ふあっ」

中は、どこを触ってもぬるぬるだ。

薄い茂みも肌に張りついている。

くるくると下着を下ろしていく。

片足を抜いた。

俺もトランクスを脱ぐ。

ペニスはもう破裂しそうに勃起している。

一刻も早く瑛里華に突き立て、ぬるりとした内部を味わいたい。

【瑛里華】「すごいね」

苦笑する瑛里華。

【孝平】「元気すぎて恥ずかしいな」

【瑛里華】「いいよ、いつでも」

瑛里華の脚を持ち、開かせた。

付け根があらわになる。

遠目にわかるほど濡れていた。

上げた脚を抱え腰を進めていく。

蜜壺に先端を当てる。

すごいな。

奥から愛液が漏れ、湯気がでそうなほど熟している。

入れた感触を想像するだけでペニスが震える。

【孝平】「いくぞ」

先端を突き立てる。

【瑛里華】「あっ」

くちゅっ。

あっという間に亀頭が飲み込まれた。

ぬめりと熱さに、思わず声が出そうになる。

瑛里華の腰がゆらゆら揺れる。

催促するような動きに興奮の針が振り切れた。

【孝平】「っっ」

いきなりピストン運動を始める。

【瑛里華】「ひゃっ、やっああっ……ああっ、ああぁっ」

ぐちゅっ、ぐちゅっ!

十分に濡れたそこからは、派手な水音が上がった。

前後する男根を、握りしめるようにヒダが絞ってくる。

【瑛里華】「ああっ、孝平っ、孝平っ……んあっ、あっ」

高い声が上がる。

瑛里華より先にはいけない。

尻に力を入れ強く腰を振る。

【瑛里華】「うあっ、ああっ……いやっ、ああああっ」

【瑛里華】「孝平っ……んっ、激しいよ、ああっ、あああっ」

瑛里華の声に反応するように膣内がしまる。

溶けるような熱と壁面からの刺激に、頭が白くなっていく。

【瑛里華】「ああっ、だめっ……私っ、今日は……なんかっ」

【瑛里華】「んあっ、あっ、あっ……やっ、孝平……」

瑛里華の手が俺の腕を握る。

爪が肌に食い込む。

【孝平】「くっ」

瑛里華の脚をより広げ、体を貫くようにペニスを送り込む。

ずちゅっ! ぐちゅっ!

愛液が白く泡立ち、飛び跳ねる。

【瑛里華】「ひうっ、ふあっ……あっ、あっ、も……もう」

【瑛里華】「おかしくなって……きちゃう……んあっ、あっ!」

声のトーンが高くなる。

腰の角度を変え、壁面をつつく。

【瑛里華】「ひああっ、あっ……だめっそれっ」

【瑛里華】「壊れるっ、孝平っ、あっ……やっ、あああぁぁっ」

【孝平】「瑛里華っ」

限界が近づいてきた。

最後の力で、がむしゃらに腰を振る。

【瑛里華】「ああああっ、だめっ、だめっ……んあっ」

泣きそうな顔の瑛里華。

俺から飛んだ汗が、ぱたぱたと瑛里華に降っていく。

【瑛里華】「孝平っ……あっ、あ、あ、あ……」

【瑛里華】「いくっ……あああっ、だめっ、だめだめっ!」

【瑛里華】「やっ、やっ、あああっ……孝平、孝平っ……」

【瑛里華】「もう、私っ、いくっ、いっちゃ……いく」

【瑛里華】「あ、あ……あ、あっ、あ、あ、あ……あああぁぁっっ!!」

収縮した膣に、思い切り肉棒を打ち込んだ。

しびれが走る。

びくびくっ! びゅくっ!

どく……どくどくっ!!!

体の中身が噴き出すような快感。

頭が真っ白になる。

どくっ、びゅくっ!

アホみたいにペニスが震える。

【瑛里華】「あ……出てる……孝平のが……」

そんな声が聞こえないほどのしびれが、体を駆けめぐっていた。

【孝平】「っ……」

一気に脱力する。

【瑛里華】「中に……広がってる……」

【孝平】「……」

実際のところ、抜く余裕がなかった。

【瑛里華】「ん、いいよ……気にしないで」

【瑛里華】「あ……広がってる、すごい……」

瑛里華がとろんとした笑みを浮かべる。

【孝平】「今日はけっこう来たかも」

【瑛里華】「ええ……お疲れさま」

瑛里華が俺の腕を撫でてくれた。

緊張が解け男根が収縮する。

ゆっくりと腰を引いた。

一瞬だけ体内が見え、暗がりから白濁した液体があふれ出る。

【瑛里華】「出しすぎ……たまってた?」

【孝平】「笑うなって」

【孝平】「瑛里華がよかった証拠だ」

【瑛里華】「ありがと」

ティッシュを取り瑛里華をふいてあげる。

1枚や2枚じゃ足りない量だ。

これも眷属パワーだろうか……。

んなわけないか。

//H-scene ends//

秘所や体をふき瑛里華の隣に寝る。

すぐに瑛里華が体を寄せてきた。

【瑛里華】「なんだか幸せ」

【孝平】「よかった」

瑛里華の頭を撫でる。

その手を彼女が捕まえ頬ずりしてくる。

上気した肌が心地よい。

【孝平】「瑛里華、最近は安定してるのか?」

【瑛里華】「なんの話?」

【孝平】「ずっと、血を吸いたくなったり不安になったりしてただろ?」

【瑛里華】「最近は特に感じないわ」

【瑛里華】「ここに来てるからね、きっと」

と、瑛里華は俺の手を握る。

【孝平】「じゃあ、今は血を吸いたくないんだな?」

【瑛里華】「ええ、そうだけど?」

ちょっと不思議そうな目で俺を見る。

【孝平】「だったら、一つ頼んでいいか?」

【瑛里華】「言ってみて」

俺の空気が変わったのを察したのか、瑛里華は言葉を選んだ。

【孝平】「俺の血を吸ってくれないか」

【瑛里華】「な、何言ってるのよ」

【瑛里華】「人の血を吸わないのは知ってるでしょ」

【孝平】「知ってるけど、俺人間じゃないし」

【瑛里華】「茶化さないで」

【孝平】「茶化してないさ」

ごろりと仰向けになる。

【孝平】「輸血用血液に頼ってたら、この島からずっと出られないだろ」

【孝平】「瑛里華が俺の血を吸ってくれていれば、どこへだって行けるぞ」

【孝平】「世界一周旅行とか」

【瑛里華】「それはそうだけど」

【孝平】「瑛里華はずっとこの島にいたから、もっといろんなところを見せたいんだ」

【瑛里華】「で、でも……」

瑛里華が戸惑っている。

【孝平】「ま、そういう現実的なメリットはさておいて」

【瑛里華】「さておくの?」

【孝平】「ああ、ほんとのところは違うから」

【瑛里華】「そっちを先に言ってよ」

【孝平】「けっこう、恥ずかしい話なんだけど」

【瑛里華】「聞いてあげる」

【孝平】「俺たち、これから百年も二百年も一緒にいるんだろ」

【瑛里華】「そうなるわね、孝平が離れていかなければ」

【孝平】「離れないつもりさ」

【孝平】「だから、もっと瑛里華を支えられるようになりたい」

【孝平】「これからずっと、一緒に生きていくパートナーとして」

【孝平】「それに……」

【瑛里華】「それに?」

【孝平】「もし、瑛里華の欲求にまずい変化があったとき……」

【孝平】「他の人の血を吸うのを見たくない」

【孝平】「瑛里華には俺だけの血を吸って欲しいんだ」

【瑛里華】「孝平……」

【孝平】「人間で言ったら、結婚指輪みたいなもんかもしれない」

【孝平】「瑛里華は俺以外から血を吸わない」

【孝平】「俺も瑛里華以外には血を吸われないようにする」

【孝平】「ま、そういう約束」

【瑛里華】「結婚か……」

瑛里華が体を起こす。

仰向けの俺を見下ろす。

【瑛里華】「吸血鬼の私が、そんなことできるとは思わなかった」

【孝平】「単に前例を知らないだけさ」

瑛里華の頬に手を伸ばす。

【瑛里華】「孝平のためにポリシーを曲げるのよ」

【孝平】「いいのか?」

【瑛里華】「あなたが言わないで」

【瑛里華】「その代わり、孝平にも約束してもらうわ」

【孝平】「どんな?」

瑛里華が馬乗りになる。

【瑛里華】「私がもし何か命令をすることがあったら……」

【瑛里華】「そのときは、私を捨てて」

【孝平】「……わかった」

瑛里華もうなずく。

その瞬間、

瑛里華の瞳が深紅に輝いた。

髪がわずかに舞う。

西日に照らされたそれが、きらきらと光を反射する。

そう言えば、

瑛里華に記憶を消されそうになったときも、こんな夕方だったな。

【瑛里華】「はじめてだから、痛いかもしれないわ」

【孝平】「できれば優しくしてくれ」

【瑛里華】「できれば、ね」

【瑛里華】「孝平……」

【孝平】「ん?」

【瑛里華】「手を握って」

【孝平】「ああ」

瑛里華の両手を握る。

彼女はかすかに震えていた。

【孝平】「大丈夫だ」

しっかりと手を握る。

【瑛里華】「いくわよ」

瑛里華の頭が下がってくる。

まず、俺にキスをし、

そして、首筋に口を当てた。

いつもとは違い、尖ったものが皮膚に触れていた。

【孝平】「瑛里華」

【孝平】「ずっと、一緒にいよう」

瑛里華がうなずいた気がした。

【孝平】「っっ!」

ぷつりと、鋭い痛みが走った。

すぐにそれは重いしびれに変わる。

【瑛里華】「んっ、こくっ……くっ」

瑛里華ののどが鳴っていた。

俺から流れたものが瑛里華の中へ入っていく。

それはたしかに彼女の血となり肉となっていくはずだ。

【孝平】「……」

いいな……血を吸われるのも。

天井を見上げ、ぼんやりと思う。

わかりにくいことは何もない。

俺と瑛里華が、いま一つになってゆく。

こんな恍惚は今までなかった。

瑛里華も同じ感覚でいてくれたなら嬉しい。

【瑛里華】「んっ……っ……」

瑛里華の力がゆるんだ。

ゆっくりと頭が離れていく。

少し名残惜しいな……。

瑛里華が体を起こした。

口元から赤い筋が垂れている。

夕日の中で俺を見下ろす姿には、あらがいがたい凄みがあった。

【孝平】「どうだった?」

【瑛里華】「ん……うん……」

我に返ったように、瑛里華が口を手の甲でぬぐう。

【瑛里華】「怖い……」

【孝平】「え?」

【瑛里華】「怖いくらいおいしかった」

瑛里華の表情は晴れない。

【瑛里華】「癖になりそうで怖い」

不安げに眉をゆがめる瑛里華の頬に手を伸ばす。

【瑛里華】「孝平は痛くなかった?」

【孝平】「初めはちょっと痛かったけど、たいしたことない」

【瑛里華】「そっか」

瑛里華が傷口に触れる。

【瑛里華】「もう、出血は止まってるわね」

【孝平】「すげえ、体だ」

【孝平】「もしかしたら、毎日吸えるように治りが早いのかもな」

【孝平】「これからも遠慮しなくていいぞ」

【瑛里華】「もう……バカ」

こうして俺たちは、共に生きていくための約束をした。

永遠を生きる俺たちが、この後どうなるのか、

どんな世界を見るのか、

それはわからない。

だが、彼女がそばにいて俺も彼女のそばにいられるのならば、きっと――

いつまでも、息の合った二人でいられることだろう。

【孝平】「あれ……」

【瑛里華】「どうしたの?」

【孝平】「なんか……眠くなってきた」

【瑛里華】「ちょっと、どうしたのよ!?」

【孝平】「これって、あれじゃない?」

【瑛里華】「もしかして」

【孝平】「眷属の活動停止……だっけ?」

【瑛里華】「え、うそ、なんでこのタイミング」

【孝平】「知るかよ、体に聞いてくれ」

【瑛里華】「ど、どうしよ? オムツとかあった方がいいのかな?」

【孝平】「やめてくれ」

【孝平】「つーか、その前に服着ないと」

……。

約10分後。

俺は眠りに落ちた。

//Possibly a date change here//

季節は巡り――

俺が学院に来て2回目の春。

瑛里華と並び学院の敷地を見上げる。

島を離れる前に、もう一度ここを見ておきたかったのだ。

新しい生活を夢見て転校した修智館学院。

ここはまさに、俺にとってのターニングポイントとなった。

瑛里華との出会い。

そして、彼女との恋愛。

生徒会役員としての毎日。

寮での生活。

クラスメイトとの日々。

一つとして無価値なものはなく、俺の胸に刻まれている。

この学院に来るまでの毎日をほとんど覚えていなかった俺が――

毎日を積極的に生きていくことができるようになったのだ。

そうさせてくれたのは……、

【瑛里華】「初めて会ったのもここだったわね」

【瑛里華】「あのときは、ほんとごめんなさい」

【孝平】「あー、あれはビビったよ。いきなり逃げるからさ」

【孝平】「危うくトラウマになるところだった」

この人、千堂瑛里華だ。

彼女とはこれからも共に生きていく。

俺から血を吸うようになった瑛里華は、もう輸血用血液に縛られることはない。

ひとまずは、県外の同じ学校に進学することにした。

同居生活を送りながら、これからのことをゆっくりと決めていくつもりだ。

時間は山ほどある。

むしろ、山ほどある時間をいかに過ごしていくかが、俺たちの課題だ。

【孝平】「さて、行くか」

【瑛里華】「そうね」

手をつなぎ、空いた手に旅行鞄を持った。

このまま駅へ向かい新居へと旅立つ予定だ。

【瑛里華】「これからもよろしく、孝平」

【孝平】「ああ、こちらこそ」

一歩踏み出す。

南風が吹き抜け、桜の花びらが舞った。

【瑛里華】「向こうも桜咲いてるかしら?」

【孝平】「近くの河川敷に桜並木があるらしいぞ」

【瑛里華】「なーいす」

【瑛里華】「じゃ、まずはお花見ね」

【孝平】「そうしよう」

まず一つ、楽しみな予定ができた。

こうやって、少しずつ時間を楽しいものに変えていけばいい。

それがきっと、永遠を生きる俺たちに必要なことだ。

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