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//August 9//

白ちゃんが、大事な話があるというのでこの「穂坂ケヤキ」に来た。

願いを叶えてくれるという噂のある木だ。

今は葉がなく、強い真夏の日差しが俺と白ちゃんに直接降りそそぐ。

白ちゃんは、なぜかうつむき、泣きそうな顔をしていた。

【白】「お別れを……しなければならなくなりました」

【孝平】「え?」

唐突な言葉に、呆然とする。

今、白ちゃんはなんて言ったんだ?

【孝平】「ごめん、よくわからない」

【白】「お別れを……」

泣きそうな顔で、もう一度口を開く。

最後まで聞きたくなくて、抱きしめた。

【白】「あっ」

【白】「支倉先輩……」

白ちゃんの細い体が、手の中にある。

この子を、手放したくない。

失うことへの焦りを和らげるように、ぎゅっと力を込めた。

【白】「あ、あの、苦しいです……」

俺だって苦しい。

【孝平】「どうして、そんなこと言い出すんだよ」

【孝平】「ずっと一緒だって、言ったのに」

【白】「ご、ごめんなさい」

【白】「わたしも、一緒にいたいです……」

【白】「でも……」

【白】「お盆は実家で過ごすことになっているんです」

【孝平】「……」

【孝平】「はい?」

【白】「だから、1週間くらい、支倉先輩と会えません……」

どうしよう。

俺抱きついてるんですけど。

【孝平】「……えーっと、別れるってことじゃないんだね?」

【白】「え! 別れる、なんてそんなっ」

【白】「そんなこと……言わないで下さい……」

【孝平】「いや、俺がそう勘違いしただけだから」

すごすごと、抱きついていた腕を放す。

【孝平】「そっか、実家に帰っちゃうのか」

【白】「はい、毎年この時期には帰らないと……いけないんです」

【白】「とても、寂しいです……」

【孝平】「帰らないわけにはいかないんだよな?」

迷うように、手をもじもじさせる。

【白】「支倉先輩に、行かないでと言われたら……」

【孝平】「いや、ごめん。困らせるようなこと言って」

【孝平】「たぶん、大事なことなんだろ?」

【白】「はい……」

【孝平】「なら、遠慮なく行っておいで」

【孝平】「寂しいときは、メールしてくれ」

白ちゃんは、泣きそうな顔でうなずいた。

//August 11//

大浴場に入ってから部屋に戻ってきた。

ベッドに置いた携帯が、ちかちかと光っている。

白ちゃんからだろうか。

From>東儀白Sub>お元気ですか

『支倉先輩、お元気ですか』

『今日わたしは、分家の方とお会いしました』

家族会議(?)だろうか。

白ちゃんはこのために帰ったのかな。

……そういえば、白ちゃんは分家の誰かと結婚するって言ってたような。

お見合い、だろうか。

『お話ししている時も、支倉先輩のことを考えてしまいました』

『早く、支倉先輩に会いたいです』

嬉しいことを言ってくれる。

『こっちはみんな元気だ』

『監督生室で文化祭の準備をしてる』

『俺も早く会いたい』

そう書いて、送信した。

//August 15//

From>東儀白Sub>夢を見ました

『昨日、支倉先輩の夢を見ました』

『夢の中で、わたしは支倉先輩とお出かけしていました』

『夢から覚めると、とても寂しい気持ちになりました』

『あと数日が永遠のように感じられます』

『支倉先輩は今、何をしていますか?』

白ちゃんが寂しがっていることが伝わってきた。

たった数日離れただけ。

その短い間を長く感じていたのは、俺だけじゃないのか。

白ちゃんには、寂しい思いをさせたくない。

楽しいことを想像して過ごせるように、してあげないと。

『俺は今、白ちゃんが帰ってきた時のことを考えてた』

『帰ってきたらデートしようと思うんだけど、どこに行きたい?』

これで、デートのことを考えてくれるようになるかな。

しばらく待っていたけど、返信はなかった。

//August 19//

From>東儀白Sub>早く会いたい


『迷っていて、返信が遅れてしまいました』

『ごめんなさい』

『考えたのですが、やっぱり街に行きたいです』

『夢の中で、支倉先輩と街を歩いていたから』

『早く、支倉先輩とお話したいです』

『手をつないで、一緒に歩きたいです』

『支倉先輩の顔が見たいです』

『支倉先輩の写真、もらっておけばよかったと後悔しています』

会いたい気持ちが、溢れているように感じた。

俺も、早く白ちゃんに会いたい。

でも、その気持ちをつづったところで、白ちゃんの気持ちは解消されないだろう。

『デートは何日がいいかな?』

『今度は、晴れるようにてるてる坊主でも作っとくよ』

//August 23//

どんっ

【白】「支倉先輩っ」

【孝平】「うおっ」

【白】「支倉先輩、支倉先輩っ、デートですっ」

【孝平】「お、落ち着いて、白ちゃん」

【白】「は、はい」

名残惜しそうに離れた。

【白】「すみません、はしゃいでしまいました」

しゅんとした白ちゃんの頭を撫でた。

【白】「あ……」

【孝平】「気持ちはわかるよ」

【孝平】「俺も同じだったから」

白ちゃんが帰ってきてから数日。

これまで、白ちゃんはたまっていた生徒会の仕事に集中していた。

俺も手伝って、やっと空けた時間だ。

【孝平】「今日はめいっぱい楽しまないとな」

【白】「はいっ」

【白】「いい天気になってよかったです」

前と違って、まぶしいくらいの晴天だ。

【孝平】「じゃあ、行こっか」

【白】「そうですね」

白ちゃんが、嬉しそうに微笑む。

二人で、歩き出した。

【白】「あの……」

【孝平】「ん?」

じっと、俺の手を見つめていた。

【孝平】「手、つなごうか」

【白】「はいっ」

小さくて柔らかい手で、俺の手を握る。

同じ強さで、握り返す。

俺たちの手は、少し汗ばんでいた。

【孝平】「大丈夫? 暑くない?」

【白】「暑いですけど」

【白】「つないでいたいです」

【孝平】「俺もだ」

二人でまた歩き出す。

そこで、不意に――

後ろを振り返る!

【孝平】「……いないか」

【白】「ど、どうしたんですか?」

【孝平】「いや、なんでもないよ」

東儀先輩は、とりあえず見えなかった。

今日は、監督生室で仕事をしてるはずだし、大丈夫だろう。

相変わらず、にぎわってるな。

【孝平】「街に来たいって言ってたけど、どこに行きたいんだ?」

【白】「えっ」

【白】「考えてませんでした……」

【孝平】「夢だと、どこに行ったの?」

【白】「えっと、お食事したりしていました」

まだ昼食には早いな。

【孝平】「他には?」

【白】「熊を見たりしました」

動物園?

【白】「あ、あとライオンに餌をあげました」

飼育係だろうか……。

【白】「あの、支倉先輩が行きたいところに、連れていって下さい」

【孝平】「いいの?」

【白】「はい。支倉先輩がどんな場所が好きなのか、知りたいです」

【孝平】「じゃあ……」

ゲーセンの前に来た。

いいのか。これで。

【白】「あの、ここは?」

【孝平】「ゲームセンター。来たことない?」

【白】「兄さまに、危険な場所だと聞いたことがあります」

【孝平】「まあ、確かにそういう場所もあるけど」

【孝平】「最近は女の子向けの店も多いから、大丈夫」

【白】「そうなんですか?」

【孝平】「ここなんかは、特に女の子向けだよ」

店を見て言った。

【白】「あれは、なんですか?」

【孝平】「どれ?」

【白】「大きな箱の中に、ぬいぐるみがいっぱい入ってます」

【孝平】「ぬいぐるみキャッチャーだな」

白ちゃんが、とことこと近寄っていく。

【白】「うわあ」

きらきらした目で、ぬいぐるみを見た。

【白】「あ、あのウサギ、雪丸みたいです」

入り口近くの落ちそうな場所に、白いウサギのぬいぐるみがあった。

【孝平】「ほしい?」

【白】「え、でも……」

【孝平】「ゲームだから、取れるかわかんないけど」

コイン投入。

ボタンを押して、アームを動かしていく。

【白】「それで、つかむんですか?」

【孝平】「ああ」

神経を集中する。

こう見えても全国各地のぬいぐるみキャッチャーを見てきた男だ。

その経験が告げている。

ここのアームは強い、と。

【孝平】「ここだっ!」

華麗にぬいぐるみが持ち上がる。

ただし、奥のなまこのぬいぐるみが。

【白】「ひっ」

白ちゃんが怯えた。

するりっ

なまこがアームから滑り落ちる。

それは、下のウサギに当たって……。

がちゃんっ

【孝平】「……」

雪丸ゲット。

【白】「わっ、わっ、すごいです。さすが支倉先輩ですっ」

腰にぎゅっと抱きつかれる。

【孝平】「あ、ああ。喜んでくれて、嬉しいよ」

運も実力のうち、と思っておこう。

【孝平】「はい、あげる」

ぬいぐるみを差し出す。

【白】「あ、ありがとうございます」

【白】「一生、大事にしますね」

幸せそうに抱きしめている。

【孝平】「いや、そこまでは……」

否定しながら、悪い気はしなかった。

【白】「あの、あれはなんでしょう?」

白ちゃんが、店の中を覗く。

人が入るボックスがあり、側面には「プリントマシーン00」と書かれている。

【孝平】「あれは、写真取るやつ」

【白】「写真、ですか?」

【孝平】「小さなシールのね」

【孝平】「よく女の子が手帳とかに貼り付けてるの、見たことない?」

【白】「あ、あります」

【白】「あれで撮るんですか……」

興味津々といった様子で、機械を見つめている。

【白】「あの、わたし」

【白】「支倉先輩の写真、ほしいです」

上目遣いで、言われた。

【白】「中は、こんな風になってるんですね……」

【孝平】「この画面で、操作するみたいだ」

【白】「支倉先輩も、は、初めてなんですか?」

【孝平】「いや、ずいぶん昔に撮った……ような」

案内に従って、画面を選択していく。

【孝平】「じゃあ、撮るよ」

【白】「は、はい」

すごく緊張しているな。

大丈夫だろうか。

【孝平】「いい?」

【白】「い、いつでも、来て下さいっ」

ボタンを押す。

【アナウンス】「3、2、1」

パシャッ

【白】「わっ」

画面に俺と白ちゃんの顔が表示される。

【孝平】「……どう?」

【白】「わたしの顔、固まってます……」

【孝平】「もう一度、撮ろうか」

【白】「え?」

【孝平】「3回まで、やり直せるから」

【白】「そうなんですか」

【孝平】「準備はいい?」

【白】「は、はははい」

さっきより緊張してないか?

【孝平】「じゃあ、いくよ」

ボタンを押して――

白ちゃんの頬にキスした。

【白】「えっ」

【アナウンス】「3、2、1」

【白】「えっ、えっ!?」

パシャッ

画面に、俺と、慌てふためく白ちゃんが浮かび上がった。

【白】「い、今、ほっぺにちゅっ、て、しました……?」

おろおろしてるのが、かわいい。

【孝平】「緊張してるみたいだったから」

【孝平】「ごめんね、嫌だった?」

【白】「えっ、いえ……嬉しい、です」

恥ずかしそうにうつむいた。

【白】「でも、びっくりして……変な顔になってしまいました」

【孝平】「これ、かわいくていいと思うけど」

【白】「だ、だめです。こんな変な顔の写真、見るたびに落ち込んでしまいます」

たしかに、本人にしてみれば嫌かもしれない。

【孝平】「じゃあもう一度ね」

【白】「はい」

取り直しのボタンを押す。

【アナウンス】「3、2、1」

その瞬間、白ちゃんが背伸びして――

【白】「えいっ」

ちゅっ

パシャッ

【孝平】「!?」

画面に浮かび上がったのは、真っ赤な顔で俺の頬に口をつける白ちゃん。

それから、目を丸くして呆然とする俺。

【白】「仕返し……です」

恥ずかしそうに、白ちゃんが言った。

【アナウンス】「印刷を開始します」

門に着く頃には、夜になっていた。

【白】「支倉先輩、バイクに乗れるんですね」

【孝平】「ゲームならね」

【白】「実際とは、勝手が違うんですか?」

ずいぶん昔に乗った時のことを思い出す。

【孝平】「うーん」

【孝平】「あのゲームは本格的だったから、操作はそこまで変わらないと思う」

【白】「そうなんですか」

なんか尊敬の眼差しで見られている。

【白】「すごかったです」

【孝平】「そうでもない」

【白】「一位でした」

褒められるとくすぐったい。

【孝平】「今日はどうだった?」

【白】「初めてのことばかりで緊張しました」

【白】「でも、楽しかったです」

言いながら、白ちゃんが一枚の紙を取り出した。

二人で分けた、写真のシールだった。

【白】「ふふふ」

嬉しそうに笑う。

恥ずかしくて、どこにも貼れない写真だ。

【孝平】「今度、やっぱり撮り直そうか」

【孝平】「それ、なかったことにしてさ」

【白】「だ、だめです、これはお墓まで持っていきます」

東儀家一同がびっくりすると思うが……。

まあ、喜んでくれてるならいいだろう。

【白】「今日は、ありがとうございました」

ぺこり、と丁寧に頭を下げた。

【白】「こんなに、楽しかったのは初めてです」

【孝平】「次は、もっと楽しいデートをしよう」

【白】「はいっ」

嬉しそうに微笑んだ。

乗り越えなければいけないこともあるけど。

二人の時はせめて幸せでいよう、と思う。

【白】「支倉先輩」

【孝平】「ん?」

【白】「あの、今日デートの帰り道に考えていたのですが」

【白】「わたし、もう一度家に戻ろうと思います」

【孝平】「お盆はもう過ぎたよな。なんで?」

【白】「えと……」

【白】「舞の練習を、しようと思いまして」

【孝平】「おっ、いいんじゃないか」

【白】「そ、そうですか?」

【孝平】「ああ。ずっと気になってたんだろ?」

【白】「はい」

【白】「それに……今日、支倉先輩と一緒にいられたことで、なんだかいろいろ前向きに考えられるようになったんです」

【白】「安心できる場所が、家の外にもできた感じというか……」

白ちゃんは、恥ずかしそうに言う。

【孝平】「ああ。いつでも、何かあったら頼ってくれよ!」

ちょっとわざとらしく、胸をドンと叩く。

【白】「ふふふ、ありがとうございます」

【孝平】「いつくらいまで?」

【白】「夏休みの終わりくらいまででしょうか」

【孝平】「そっか」

【孝平】「長いような気もするけど……逆に、舞ってそれくらいの練習で大丈夫なの?」

【白】「初めてだったら、とても無理だと思います」

【白】「わたしも、一人の練習だと二人での舞がどこまで練習できるかはわかりませんが……」

【孝平】「きっと、なんとかなるさ」

【孝平】「また、メールくれよ。俺も送るからさ」

【白】「はいっ」

白ちゃんは、嬉しそうに俺の腕に抱きついてきた。

//August 31//

【瑛里華】「私は7月中に終わらせたわ」

【伊織】「俺は今晩なんとかする」

兄妹だというのに対照的な宿題の片づけ方を披露する二人。

口ではそんな話をしながらも、半月後に迫った文化祭の仕事をする手は動き続ける。

俺は、二人についていくのが精一杯のペースだ。

【伊織】「7月中に終わらせるなんて、課題を解くのが重要なことみたいじゃないか」

【瑛里華】「重要だから!」

【孝平】「俺は全体的にぼちぼち進めてました」

【伊織】「案外それはレアかもしれないよ」

【孝平】「そんなもんスか」

【伊織】「時に支倉君」

会長が、仕事の手を止めて俺を正面から見る。

【孝平】「はい」

【伊織】「征は今日来るかな?」

【孝平】「俺よりも会長の方が詳しいんじゃないですか?」

【伊織】「それが最近、征が俺につれなくてね」

【伊織】「何か支倉君が知ってるんじゃないかなーと」

例の件について、東儀先輩がどこまで会長に話をしているのか、俺は知らない。

うかつなことを言ってはいけないような気がする。

……難しい判断だ。

【孝平】「いえ、俺も東儀先輩とはここ何日か会ってません」

【孝平】「新学期が始まったら来るんじゃないですか」

【征一郎】「ん? なんの話だ?」

【伊織】「ありゃ」

【伊織】「打ち合わせより登場タイミングが早いぞ、征」

【征一郎】「打ち合わせとはなんのことだ」

【瑛里華】「征一郎さん、さっき支倉くんがトイレに行ってるときに来たのよ」

だまされた。

これだからこの人は油断できない。

【征一郎】「つまらん小細工はするな、伊織」

【伊織】「いや、支倉君の反応次第では、面白くなるかもしれなかったのさ」

【征一郎】「……」

東儀先輩がちらっと俺を見る。

【伊織】「いや、まあ結果としては何も起こらなかったんだけど」

【征一郎】「俺の担当分は昨日進めておいたから、今日はもうあがらせてもらうぞ」

東儀先輩ガン無視。

【伊織】「夏期休暇の課題を貸してくれる約束は?」

【征一郎】「約束とやらを捏造するな」

【伊織】「残念」

【征一郎】「では」

そう言い残して去っていく東儀先輩。

危ないところだったな……。

【瑛里華】「ほら、兄さんもさっさと手を動かす!」

【伊織】「ごめん支倉君、もう一つだけ」

【伊織】「最近、白ちゃんはどうしてるか知ってる?」

【孝平】「ま、まあ、実家に帰ってるってことくらいは」

【伊織】「実家で何やってるんだろう?」

む……

白ちゃんが舞をしてることは知ってるだろうから、言ってもいいのか?

うーん。

でも、あまり言いふらすようなことでもないような気がする。

【孝平】「そこまでは、ちょっと」

【伊織】「ふむ」

がちゃっ

【白】「お久しぶりですっ」

【伊織】「……ありゃ。久しぶり」

【伊織】「やっぱり、白ちゃんの淹れるお茶はおいしいなぁ」

【瑛里華】「うん、ほんとね」

【白】「長い間仕事に関われなくて、申し訳ありませんでした」

【瑛里華】「それは、事前に言っててくれたから大丈夫よ」

事前に、ちゃんと伝えてたんだ。

そりゃそうか。

【白】「遅くなりましたが、これからはバリバリお仕事ができればと思います!」

【伊織】「お、白ちゃんリフレッシュしたのかな」

【伊織】「なんか、元気になったような気がするよ」

【瑛里華】「じゃあさっそく、これお願いするわ」

……こうして、白ちゃんが仕事に復帰。

監督生室に、いつもの面子が戻ってきた。

そのまま、暗くなるまで、たまっていた仕事を片づける。

【瑛里華】「さて、私はそろそろあがるわ」

【瑛里華】「明日から二学期だし、気合いを入れ直さないとね」

【白】「瑛里華先輩はいつも元気いっぱいです」

【瑛里華】「ええ。夏休みボケなんて、言ってられないわ」

【孝平】「会長、課題って、本当にこれから手をつけるんですか?」

【伊織】「そうだけど?」

【孝平】「でも、どう考えても一晩じゃ……」

【伊織】「なんとかなるさ」

この人は、本当になんとかしそうで怖い。

【伊織】「じゃ、俺もあがるよ」

【孝平】「ちなみに白ちゃん、課題は?」

【白】「わたしは7月中に終わらせました」

【瑛里華】「ほら」

【伊織】「はいはい。俺が悪かったよ」

【瑛里華】「それじゃお先ー」

二人が監督生室を去っていく。

室内には、俺と白ちゃんが残った。

……。

【白】「あの、支倉先輩、お久しぶりです」

【孝平】「ああ」

【孝平】「舞の練習は、上手くいった?」

【白】「……ええと」

【白】「頑張りはしたのですが、一人ではなかなか……」

歯切れが悪い。

やはり、東儀先輩と一緒でないと難しいのだろうか。

【白】「うちの神社独特の舞なのだそうですが、男性と女性が一人ずつ舞うのではなく、一緒に舞うのです」

【白】「父さまと母さまが舞っていたのを見ていたことがありますが、とても美しい舞でした」

【白】「去年は、舞台の特別な空気に乗せられたのか、わたしも上手く舞うことができました」

【白】「母さまに教えてもらった舞を、ちゃんと舞えたことが嬉しくて……」

一瞬だけ、嬉しそうな顔をする白ちゃん。

【白】「やはり呼吸を合わせるのが大切なのだと思います」

【白】「練習を一人でやっていても、どうしても限界が……」

【孝平】「そっか……」

【白】「でも、一段落つきましたので」

【白】「今年の例大祭では、兄さまが一人で舞うのかもしれませんし」

【孝平】「それは、東儀先輩が?」

【白】「いえ、でも……」

【白】「そうなっても、仕方ないと思います」

白ちゃんは、何かが吹っ切れたような顔で言う。

それは、もしかしたら、諦めなのかもしれない。

……俺が何も言えないでいると、白ちゃんが、お茶を淹れ直してくれた。

【白】「支倉先輩、前に『二人でもっとデートしよう』『楽しいことたくさんしよう』って言ってくれましたよね」

【孝平】「お、おう」

【白】「あの言葉、わたしの中でとても支えになってくれていたんです」

【白】「だから、今も『監督生室デート』ということで……」

頬を染めながら、白ちゃんが言う。

【孝平】「そうだな」

白ちゃんに、軽くキスをした。

【孝平】「でも、今日はちゃんと仕事してから、な」

【白】「そ、そうですね……」

【白】「すみませんでした」

【孝平】「いや、本当は俺も白ちゃんといろいろしたいけど……」

【孝平】「そのせいで仕事が遅れて、後ろ指さされるのも嫌だしな」

【白】「はい」

【白】「正々堂々と、ですね」

【孝平】「おう」

それから二人で仕事をし、無事、夏休み中までに終わらせておくべき仕事にけりがついた。

ちょうど、門限間際だった。

//September 1//

//Another view : Shiro//

今日から二学期。

校舎に向かう並木道を歩く。

……。

支倉先輩。

支倉先輩支倉先輩。

はせくらせんぱい。

はーせーくーらーせーんーぱーいー。

何度その名を呼んでも、

早く呼んでも遅く呼んでも、

顔がにこにこしてしまうのを止められない。

もちろん口に出して呼んではいない。

……今は。

寮の部屋に一人でいた時には、口に出してみたことがある。

恥ずかしい。

思い出すだけで、顔が赤くなりそうだ。

でも、その名は、わたしにとって特別なものとなった。

だから、恥ずかしさよりも嬉しさの方が大きい。

【白】「はーせーくーらーせーんーぱーいー」

周りに人がいないのを確かめて、そっと、ゆっくり声に出してみる。

ああ、名前を呼ぶだけで、なんでこんなに嬉しいんだろう。

支倉先輩と初めて会ってから5ヶ月。

まさか、こんな関係になるとは思ってもいなかった。

自分でもびっくりしている。

思わず足取りも軽くなる。

スキップしてしまいそうだ。

いや、いっそ走り出してしまいたくなるくらいだ。

だってこれから向かう校舎にも、放課後の監督生室にも、寮にも支倉先輩がいるのだから。

強い日差しも、イチョウ並木の揺れる葉も、熱い風も、輪唱している蝉の鳴く声も、

目に入るもの、耳に聞こえるもの、肌で感じるものすべてが、

わたしを、わたしたちを、わたしと支倉先輩を、祝福してくれている気分になる。

ああ。

これが幸せを感じている状態なんだ。

きっとそうだ。

間違いなくそうだ。

そう思うと、またにこにこしてしまう。

始業式が終わると、もう放課後だ。

今日は、兄さまに呼ばれて、図書館に向かっている。

夏祭りについて、話があるらしい。

少し前なら、こんな時、ちょっと重い気持ちになっていたかもしれない。

でも今は、支倉先輩がついてると思うだけで、強くなれる気がする。

きいっ

あいかわらず、人気のない図書館。

兄さまは、学院の中でもここが一番落ち着くという。

古い本と、古い建物が醸し出す香りが好きなのだそうだ。

兄さまらしいと思う。

兄さまは、歴史とか伝統があるものが好きだ。

【征一郎】「白か」

【征一郎】「座りなさい」

【白】「はい」

浮かれている気分を、頑張って落ち着かせる。

そして兄さまの前の席に、浅く腰をかけた。

【白】「今日は、お祭りの話ですか」

【征一郎】「そうだ。それもある。が……」

兄さまがわたしの目をじっと見つめ続けている。

【征一郎】「夏休み中に何かあったか?」

【白】「えっ」

【征一郎】「何か、変わった気がするのだが」

【白】「そ、そんなことは……ないです」

兄さまは鋭い。

もしかして……

何か、勘づかれてしまったのだろうか。

まさか。

【白】「兄さまにお伝えするようなことは……何もないです」

【征一郎】「本当か?」

【白】「ないです」

【征一郎】「本当だな」

【白】「はい」

【征一郎】「……」

兄さまの視線が険しくなる。

こんなに、厳しい眼をされることはめったにない。

これは……。

わたしの生活や行動に、支倉先輩と結ばれたことがわかるような何かがあっただろうか。

不安になる。

食事、トイレ、お風呂、洗濯……。

妊娠すると、酸っぱいものが食べたくなったりつわりがあったり体の調子が変わるそうだけど。

男の人と一度ああいったことをするだけで、わたしの体は変わってしまうのだろうか?

【征一郎】「支倉とは最近どうしてる」

【白】「それは……!」

【白】「それは、すべて兄さまに報告しなくてはいけないことなのですか?」

【征一郎】「ふむ」

【征一郎】「ずいぶんとムキになるのだな」

【白】「そんなことはありませんっ」

【征一郎】「ムキになるようなことがあったわけだ」

【征一郎】「それも、俺にも話せないようなことが」

【白】「ちっ、違いますっ!」

頭に血が上る。

【白】「なぜ兄さまは、そんなに勝手に疑って勝手に怒っているのですかっ」

【征一郎】「勝手なのはどちらだ」

【征一郎】「以前、一度言っただろう」

【征一郎】「支倉とのことは、早めに終わらせろと」

【白】「兄さまは、兄さまだからといってわたしの恋愛にまで口を出すことができるのですかっ」

【征一郎】「俺の好き嫌いで話をしているわけでも、兄だからこんなことを言っているわけでもない」

【征一郎】「東儀家の当主として言っているのだ」

【征一郎】「……軽率な行動は慎めと」

【白】「軽率……っ!」

【白】「支倉先輩とのお付き合いは、軽率なんかではありませんっ」

【征一郎】「図書館だぞ」

【征一郎】「あまり大きな声を出すな」

【白】「あ、は、はい……」

【白】「しかし、軽率なんて……!」

【征一郎】「しきたりを破り、分家でもなく、ましてや島の外から来た支倉と男女の付き合いをすることは軽率ではないのか」

【白】「しきたりを守るということは……」

【白】「わたしたちにとって、どういう意味があるのでしょうか?」

【征一郎】「義務で守るようなものではない」

【征一郎】「自発的に、自主的に守るべきだと考えるようになるものだ」

【白】「兄さまの言うことが……わかりません」

【征一郎】「いずれわかるようになってくれると思っていたのだが……」

わからないわたしが悪者のような雰囲気だ。

【征一郎】「しきたりの是非をここで議論するつもりはない」

【征一郎】「白」

【白】「は、はい」

【征一郎】「二択だ。支倉と別れて、秋の例大祭で舞うか」

【征一郎】「支倉を選んで、二度と例大祭で舞わないか」

【征一郎】「祭りで舞うことも、分家から婿を取ることも、すべてが東儀家のしきたりだ」

【白】「そ、そんな……」

【征一郎】「これは白が選ぶことだ」

【征一郎】「もう、俺からどうしろなどとは言わない」

【征一郎】「支倉と付き合うことを決めたときと同じように、自分で選べ」

【征一郎】「わかったな」

【白】「あ……」

支倉先輩と、

毎年続けてきた、母さまから習った舞。

そんな……

選べと言われても……。

【白】「む、無理です」

【征一郎】「選ぶんだ」

【征一郎】「東儀家の人間がしきたりを破るというのは、東儀であることを捨てるということだ」

【征一郎】「東儀を捨てた人間には舞を舞わせることはできない」

【征一郎】「あの舞は、東儀のみに許されたものであり、東儀の責任だからな」

【白】「……」

【征一郎】「おまえがやろうとしていることは、そのくらいに重いことなのだ」

【征一郎】「そのことを忘れるな」

【征一郎】「選べない、などという甘いことを言っているようでは、話にならない」

【白】「う……」

【白】「う……ううぅ……ひっく……うあ、うあぁぁ……」

【白】「うああ……うわあああああ」

抑えようとしても抑えられない。

ここが図書館で、静かにしなくては、と思いながらも。

泣けば、また兄さまに迷惑をかけると思いながらも。

【征一郎】「白」

【白】「にっ、兄さまだってっ」

【白】「兄さまだって、父さまと母さまのことっ……う……うあぁ……」

【征一郎】「っ!」

【征一郎】「なんのことだ」

【白】「っく」

キッと兄さまを見据える。

【白】「ごまかされたりはしませんっ」

【征一郎】「何を言っているのか知らないが、それとこれとは話が別だ」

【白】「べっ、別ではありません!」

【白】「父さまと母さまのことを隠しておきながら、東儀という家に縛ろうとするなんて……」

【白】「兄さまは、ひどいですっ!」

わたしは、兄さまに背中を向け、図書館の出口に走った。

振り返る。

兄さまは、追いかけてこない。

階段を転びそうになりながらも駆け下りる。

息が切れても走る。

全身の細胞が酸素を求めて悲鳴をあげても走り続ける。

走りたかった。

走ってどうなるわけでもないが、何かせずにいられなかった。

……変だな。

強い日差しも、イチョウ並木の揺れる葉も、熱い風も、輪唱している蝉の鳴く声も、

全部が、輝きを失っている。

//Another view ends//

//September 5//

気のせい……ではないと思う。

新学期になってから白ちゃんの様子がおかしかった。

監督生室にもほとんど顔を出さず、顔を出してもすぐに帰ってしまう。

最初は「なんでもないです」と言ってたし、それを信じてた。

でも、だんだん心配になってくる。

理由に心当たりは無かった。

夏休みは、最終日までとても仲良く過ごしてたし。

悩んでいても仕方ないので、昨晩、白ちゃんに話してくれるようメールで頼んだ。

……白ちゃんからの返事が来るまでには、ずいぶん時間がかかった。

『明日の放課後、千年泉でお話します』というメールをもう一度読む。

どんな話になるんだろう。

……今日は、放課後になるのがやたらと遅い気がした。

……。

白ちゃんの説明を聞いて、俺は言葉を失っていた。

【白】「──兄さまは、そう言いました」

【白】「そして『どちらか選べ』と……」

【孝平】「それは……」

なんと言っていいか、とっさにはわからない。

【孝平】「白ちゃん」

【孝平】「辛い思いをしたんだな」

それだけを言って、ぎゅっと抱きしめる。

【白】「う……うぅ……」

頭を撫でる。

俺にできることは少ない。

【白】「……っ……っ」

嗚咽を漏らすまいと、白ちゃんが頑張ってるのが伝わってくる。

考えろ。

俺は白ちゃんのために何ができるんだ。

白ちゃんにとって一番いい結果ってなんだ。

……。

俺と白ちゃんが手に手を取って逃げる──例えばこれも一つの結末だろう。

二人でどこか遠くの街で肩を寄せ合って暮らす。

まさに駆け落ちだ。

しかし……。

白ちゃんにとって、この問題は逃げれば解決するのか?

白ちゃんの両親の問題。

白ちゃんと東儀家の問題。

逃げれば解決するのではなく、解決しないまま逃げることになってしまう。

……。

俺と白ちゃんが別れる。

これなら、俺と白ちゃんの気持ち以外のすべての問題は解決する。

白ちゃんは、東儀家の斎として生きていく。

だめだ。

何を考えているんだ。

これこそ逃げてるのと変わらない。

うぬぼれじゃなければ、これが一番白ちゃんを泣かすことになるだろう。

──袋小路だ。

【白】「は……支倉先輩?」

【孝平】「ああ」

【白】「もう少しだけ……こうしててもいいですか?」

【孝平】「もちろん」

【白】「ありがとうございます……」

心の底から、安心しきった声で囁かれる。

俺は……この白ちゃんの信頼を、裏切ってはいけない。

//September 6//

朝食を食べたあと、図書館に向かった。

ここに、何かヒントが転がってるわけではない。

本を読めば島の歴史はわかるけど、今現在どうするかの方が俺にとっては重要だ。

でも、この場所はなぜか落ち着く気がする。

椅子を引き、腰を下ろす。

一応、本を一冊だけ借りて読んでいるフリをする。

さて、考えよう。

これからどうすればいいのかを。

……。

…………。

………………。

だめだ。

考えても考えてもだめだ。

俺が何をしたところで、白ちゃんが二つに分裂でもしないかぎり、白ちゃんの心が二つに割れてしまう。

お母さんから教えてもらった舞を舞いたい白ちゃん。

俺といたい白ちゃん。

両立する方法は、ない。

【孝平】「くそっ」

司書さんに怒られないくらいの声で小さく毒づく。

頭がウニになりそうだ。

……一度、外の空気を吸った方がいいかな。

そう思って、図書館の外に向かった。

きいっ

【??】「おっ?」

誰かが、外から扉を引いた。

そのため、扉はものすごく軽く開く。

【征一郎】「支倉か」

【孝平】「東儀先輩」

【征一郎】「宿題か何かか」

【征一郎】「精が出ることだ」

【孝平】「いえ、ちょっと考え事を」

【征一郎】「ふむ」

すれ違った東儀先輩は、図書館の奥へ。

俺は、外に出た。

暑い。

今日は一段と暑い。

遠くを見ると、陽炎が立ち上っているところもある。

もう立夏は過ぎたから残暑ということになるのだろうか。

残暑などとは名ばかりで、今が本番真っ盛りとしか思えない。

東儀先輩は、図書館に何をしに来ていたのだろう。

俺みたいに、島や東儀家の歴史を……って、そんなわけないか。

東儀先輩が俺より知らないはずは無いもんな。

祭についても、しきたりについても。

……。

…………しきたりか。

そもそも、しきたりなんて大名家でもなければ本に載ってるはずがない。

白ちゃんだって、きっと両親や東儀先輩から口で伝えられたはずだ。

東儀先輩も。

そして、白ちゃんと東儀先輩の両親は亡くなっている。

少なくともそういうことになっている。

つまり、今、白ちゃんにしきたりを伝えているのは、東儀先輩だけだ。

もしかしたら東儀家にはそれが書き記されたものがあるかもしれないけど。

東儀先輩が許せば、白ちゃんはもっと自由になれるのではないだろうか。

ふむ。

そう考えると、東儀先輩との関係を良好にすることが、重要になってくる。

東儀先輩はそもそも敵じゃないんじゃないか?

白ちゃんと俺の関係を除けば、東儀先輩と白ちゃんのベクトルは近い。

白ちゃんと俺の関係を東儀先輩に認めてもらえるかどうかは別問題として……

今、二人の間にあるそれ以外のわだかまりを解消できないだろうか。

両親のこととか。

……思い立った俺は図書館に向かった。

まずは、話を聞いてもらわなくてはいけない。

まだ東儀先輩がいるといいが。

きいっ

図書館に戻ってみる。

ざっと館内を見渡しても、東儀先輩の姿はない。

机や椅子や書棚がずらっと並ぶ図書館内。

俺の他には、司書の人が一人いる以外には人の気配がない。

書棚しかない二階や、閉架の地下もあったはずだが……

司書さんに話を聞くのが早いだろう。

……無口な司書の人によると、東儀先輩も俺が出ていった後すぐに出ていったらしい。

それ以降は戻ってきていないとのこと。

なんとか、連絡は取れないだろうか。

東儀先輩は携帯にも出ない。

いつか、そもそもあまり携帯を見ていないのかもしれません、と白ちゃんは言っていた。

どこかで直接会わなければいけない。

東儀先輩との遭遇率が高いのは……

まずは監督生室だ。

そこには、千堂兄妹がいた。

【伊織】「やあやあ支倉君、久しぶりじゃないか?」

そう言って握手を求められる。

今週は、白ちゃんがいないこともあってか、少し出席率が低かったかもしれない。

【瑛里華】「兄さん、手を離しちゃダメよ」

【孝平】「?」

【伊織】「すまないね」

会長に、手を握られる。

【瑛里華】「さて。いろいろお取り込み中なのかもしれないけど」

【瑛里華】「一つクイズがあるの」

【孝平】「はあ」

【瑛里華】「この山はなんでしょー?」

楽しげな口調。

笑みを浮かべた表情。

しかし、こめかみがぴくぴくしている……ような。

【孝平】「仕事?」

【瑛里華】「惜しいっ、50点ね」

【瑛里華】「全部『あなたの』仕事よ」

そりゃそうだ。

今は文化祭直前で、生徒会の仕事も山積みなんだった。

【伊織】「支倉君には、とっておきのケーキをあげるから、頑張ってくれたまえ」

【瑛里華】「冷蔵庫の中のケーキは私の買い置きだから!」

……。

一箇所目で見事にキャッチされてしまった俺。

リリースされたのは、門限間近だった。

それでも、意地で仕事は全部片づけた。

会長と副会長からは、その鬼気迫る仕事ぶりを褒められた。

……今日は終わってしまったが、その分、明日は心おきなく東儀先輩を探せる。

そう考えることにしよう。