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//July 13//

【かなで】「やっほーーーーーーーー!」

青い空と白い雲。

そして、見渡す限りの大海原。

海水浴日和となった今日、お茶会メンバーたちは海に来ていた。

いつか副会長が企画したイベントが、ようやく実現の運びとなったのだ。

【瑛里華】「うーん、気持ちいい」

【瑛里華】「晴れてよかったわね」

【孝平】「だな」

日曜日なので、ビーチはそこそこ賑わっていた。

沖の方には白い帆が並んでいる。

ようやく夏が来たという感じだ。

【陽菜】「じゃ、荷物はここらへんに置こっか」

【白】「はい。シート出しますね」

レジャーシートを敷いて、陣地を確保。

海の家でパラソルも借りてきた。

【陽菜】「更衣室ってどこかな?」

【司】「あっちにあった」

【瑛里華】「じゃあ、行きましょうか」

【陽菜】「うん」

【かなで】「やっほーーーーーーーー!」

【孝平】「……」

沖に向かって雄叫びをあげている悠木かなで。

謎の行動だ。

【孝平】「いくら呼んでも、やまびこは返ってきませんよ」

【かなで】「わかってるもん。試しただけ」

なんだそりゃ。

ますます謎。

【陽菜】「お姉ちゃん、着替えに行くよ」

【かなで】「了解!」

【かなで】「それじゃ女性陣の皆さん、かなで隊長に続けーっ」

荷物を持ち、意気揚々と歩いていく。

【陽菜】「そっちじゃないよ、お姉ちゃん」

【かなで】「ありゃ、失礼」

【瑛里華】「こっちです、悠木先輩」

【かなで】「おっけー!」

【かなで】「みんな、えりりん隊長に続けーっ」

【かなで】「おー!」

【白】「お~っ」

【陽菜】「おーっ」

……。

【司】「寮長、テンション高いな」

【司】「いつものことだが」

【孝平】「まあな」

きっと、今日という日をめちゃくちゃ楽しみにしていたのだろう。

昨日はあまり寝ていないに違いない。

充血した目が何よりの証拠だ。

【司】「腹減ったな」

【司】「昼飯何食う?」

【孝平】「まだ10時だぞ」

【司】「もう10時だ」

【孝平】「えばるなよ」

【司】「昼になったら起こしてくれ」

【孝平】「あ」

司はシートに横になり、目をつぶってしまった。

なんて不健康な男なんだ。

……。

まあいい。こいつに荷物番を任せてしまおう。

【かなで】「おっまたせー!」

しばらくして、女性陣が更衣室から戻ってきた。

【かなで】「あれ? へーじ寝てるの?」

【孝平】「荷物番をしてくれるらしいです」

【かなで】「おおー、感心感心」

【白】「でも、いいんでしょうか?」

海に学校指定水着で来るとは、やるな白ちゃん。

【孝平】「昼まで寝てるらしいから、いいんじゃないか」

【瑛里華】「あとで、みんなでお昼ご飯おごってあげましょ?」

【陽菜】「うん、そうだね」

ということで話がまとまった。

……。

いや、それにしても。

水着姿の女子が四人。

なかなか贅沢なシチュエーションではないだろうか。

副会長は非の打ち所がないスタイルだ。

周囲の男たちの視線を、一身に集めている。

だが、隣の陽菜も負けてない。

副会長ほどグラマラスではないが、すらりと均整の取れたスタイルだ。

対する、白ちゃん&かなでさんは……。

【かなで】「何?」

【孝平】「はい?」

【かなで】「今、心の中でグループ分けしたよね? 明らかに」

【孝平】「しないですって」

堂々と嘘をついた。

【かなで】「つまり、お子様だって言いたいのかな?」

【孝平】「誰もそんなこと言ってないじゃないですか」

【かなで】「怪しい!」

【かなで】「ガルルルルル」

【陽菜】「お、お姉ちゃんっ」

【白】「かなで先輩っ」

やばい、怒ってる。

別の話題にシフトしなければ。

俺は慌ててそばにあったビーチボールを手に取った。

【孝平】「かなでさん、ほら」

【孝平】「ビーチバレーやりましょう、ビーチバレー」

【かなで】「やるやる!」

あっさり食いついてきた。

【かなで】「いっくぞ~」

俺からボールを奪い取り、砂浜をダッシュする。

まるで子鹿のように機敏な走りだ。

【かなで】「受けてみよ、かなでタイガーアタック!」

【かなで】「とあああっ!」

バシッ!

って、もう始まってるのかよっ。

【瑛里華】「私に任せて!」

副会長が鋭いアタックへと走り込む。

バシッ!

副会長の驚くべき反射神経により、ボールは宙へと大きく飛んだ。

【陽菜】「千堂さん、ナイス!」

【白】「ナイスフォローですっ」

【瑛里華】「ふふふっ」

【かなで】「ぬうううう、敵ながらあっぱれ!」

【瑛里華】「悠木先輩、行きますよ!」

副会長はボールを高く頭上に投げ、しなやかにジャンプ!

【瑛里華】「とあっ!」

バシッ!

【かなで】「わわわっ」

ボールが鮮やかな軌跡を描いて飛んでいく。

必死で追いかけるかなでさん。

その時、大きく風が吹き、ボールが波打ち際へと煽られる。

【かなで】「わーーっ!」

ざっばーんっ!

【孝平】「かなでさん!」

【陽菜】「お姉ちゃん!」

かなでさんはボールもろとも、頭から海に突っ込んだ。

ワイルド過ぎるダイブだ。

【瑛里華】「悠木先輩、大丈夫ですか?」

【かなで】「あはは、大丈夫大丈夫」

にっこりとVサイン。

水に濡れた肌が、光を浴びてきらきらと輝いている。

……確かに、小柄で幼い身体つきではあるけれど。

決して色気がないわけではなくて。

髪をかきあげるしぐさや、ちらりと見える胸の谷間。

白いうなじなんかに、どうしても目を吸い寄せられてしまう。

【かなで】「みんなもおいでよ、気持ちいいぞ~」

【瑛里華】「行こうか?」

【陽菜】「うんっ」

【白】「はいっ」

【孝平】「おう」

みんなで一斉に走る。

俺もかなでさんに負けじと、ダイナミックなダイブを披露した。

ざっばーんっ!

【かなで】「わあぁっ!」

大きな水しぶきが、かなでさんを襲う。

【かなで】「こら、こーへー!」

【孝平】「あ、すみません」

【孝平】「小さいから気づかなくて」

ざばばばっ!

【孝平】「げふっ、げふっ」

激しく水をかけられた。

【かなで】「なんか言った?」

【孝平】「いえ、何も」

笑顔に笑顔で返す。

【孝平】「似合ってますよ、水着」

【かなで】「ほんと!?」

【かなで】「……ほんとに?」

【孝平】「かなでさんにお世辞言ってもしかたないでしょう」

【かなで】「でも、ちょっと子供っぽくないかな」

【孝平】「そんなことないです」

俺は首を振った。

本当に、よく似合ってると思う。

似合ってなかったら、こんなにドキドキしない。

【かなで】「えへへ」

【かなで】「やだなーもう!」

ばしばしばしばしっ。

かなでさんは容赦なく俺の背中を叩く。

【孝平】「痛い痛い痛い」

【かなで】「えへへへ、こーへーったら」

ばしばしばしばしっ。

【孝平】「痛いです、かなでさんっ」

【瑛里華】「……」

【陽菜】「……」

【白】「……」

【孝平】「な、なんだ?」

気づけば、みんなが俺たちを見ていた。

とても生温かい視線だ。

【瑛里華】「私たちのことは気にしないで、続けて?」

【陽菜】「邪魔はしないよ?」

【かなで】「そ、そーゆーんじゃないからっ」

【瑛里華】「じゃあ、私たちはこっちでボートに乗って遊びましょうか」

【陽菜】「そうしましょう」

【白】「お供します」

【かなで】「待て待て待て待て~っ」

なぜか背泳ぎで、みんなを追いかけていくかなでさん。

ぜんぜん違う方向に流されてるし。

【かなで】「いたたたたたた」

【陽菜】「あーあ、真っ赤になっちゃってるよ?」

日が傾き、海が夕焼け色に染まる頃。

俺たちは海浜公園のカフェでお茶をすることにした。

かなでさんは日焼け止めを塗り忘れたらしく、全身真っ赤だ。

歩く火ダルマ状態になっている。

【孝平】「日焼け止め塗らずに泳ぐなんて、自殺行為ですって」

苦言を呈すると、かなでさんは口を尖らせた。

【かなで】「でも、みんなだって塗ってなかったよ」

【陽菜】「みんなは寮を出る前からばっちり塗ってるの」

【陽菜】「海に行くんだもの。普通はそうするでしょ?」

【かなで】「うぅ」

【瑛里華】「寮に帰ったら、ちゃんと冷やした方がいいですよ」

【瑛里華】「八幡平君もね」

【司】「まったくだ」

司の足も見事に赤い。

それも、膝から下部分だけがくっきりと。

ビーチで居眠りする時は、気をつけないとダメだ。

【かなで】「やったねへーじ、おそろいだ」

【司】「はあ」

ぜんぜん嬉しそうじゃない。

【かなで】「あいたたたたた」

【白】「かなで先輩、アロエジェルお貸ししましょうか?」

【白】「日焼けしたところに塗ると、ひんやりして気持ちいいですよ」

【かなで】「おおぉ、ありがとうしろちゃん」

【白】「どういたしまして」

【白】「あとで、支倉先輩に塗ってもらってくださいね」

【かなで】「え?」

【白】「?」

……。

微妙な間があった。

おそらく白ちゃんは、ただ何気なく言っただけなのだろう。

それはわかっている。

だが、ドキリとさせられたことは事実で。

【かなで】「あは、あははは」

【かなで】「うん、えっと、ひなちゃんに塗ってもらおうかな?」

【白】「? はい」

【陽菜】「その前に、水風呂に入らないとね」

【かなで】「やだよ、冷たいもん」

【陽菜】「冷たくても入らなきゃ駄目」

【かなで】「ええぇ~」

【陽菜】「だーめ」

【瑛里華】「ふふふっ」

みんなが笑い、俺も笑った。

まだドキドキしてることを悟られないように。

【かなで】「はぁ……今日は楽しかったねえ」

【かなで】「またみんなで来られるかな?」

夕日を見つめながら、しみじみとかなでさんは言う。

【瑛里華】「もちろんです」

【瑛里華】「でも、たまには二人で遊びに来てもいいんじゃないですか?」

【かなで】「二人?」

みんなの視線が、俺とかなでさんに集まった。

【孝平】「俺と司か?」

【司】「なんでだよ」

【かなで】「わたしとひなちゃん?」

【陽菜】「違うでしょ」

【瑛里華】「はいはい、二人とも照れない照れない」

【かなで】「失礼しました」

【孝平】「失礼しました」

【陽菜】「デートとか、しないの?」

真顔で聞かれた。

もちろん、したいに決まっている。

だが、なかなか時間が取れないというこの現実。

かなでさんは俺に輪をかけて忙しい身だ。

今日だって、たまたま二人の予定が合ったから出かけることができたのだ。

だけど。

【孝平】「近々するよ」

【孝平】「ねえ、かなでさん?」

【かなで】「え……」

【かなで】「いいの?」

【孝平】「ええ。どこへでも」

【かなで】「ハワイでも?」

【孝平】「国内でひとつ」

【孝平】「できれば島内で」

【かなで】「おっけー!」

とびっきりの笑顔で答えた。

【陽菜】「よかったね、お姉ちゃん」

【かなで】「うんっ」

【かなで】「デ~ト~デ~ト~♪」

【かなで】「ハワイでデ~ト~♪」

だから、ハワイは無理です。

//July 16//

夜。

誰もいない談話室で、写真を眺めていた。

先日の海水浴で撮った写真だ。

みんながはしゃいでる姿や、司の寝顔。

それに、水着姿のかなでさんと俺のツーショット。

我ながらなかなかいい写りだ。

【孝平】「……」

俺はポケットから生徒手帳を取り出した。

中には、バーベキューの時のツーショット写真が挟んである。

実はこっそり持ち歩いてたり。

なんてことは、かなでさんには恥ずかしくて言えないけど。

【??】「支倉君」

【孝平】「!?」

いきなり背後から話しかけられ、俺は慌てて写真を隠した。

振り返ると、紅瀬さんが立っている。

……びっくりした。

まったく気配がなかった。

【桐葉】「これ、そこに落ちてたけど貴方の?」

【孝平】「え?」

一枚の写真を手渡された。

得意げに肉を焼いている会長の写真だ。

そういえば、この写真も生徒手帳に挟みっぱなしだったことを思い出した。

【孝平】「ああ、俺のだ」

【孝平】「どうもありがとう」

【桐葉】「……」

【桐葉】「どういたしまして」

そう言って、紅瀬さんは窓際の席に座った。

今、妙な間があったよな。

なんだろう。

……。

…………。

【孝平】「あっ」

俺はソファーから立ち上がった。

【孝平】「紅瀬さん、違うから」

【孝平】「この写真、そういう意味じゃないから」

【桐葉】「そう」

短く返された。

【孝平】「誤解してないか?」

【桐葉】「何を?」

何を、と言われても。

【孝平】「この写真はたまたま持ってただけで、その」

【桐葉】「安心して」

【桐葉】「誰にも言わないから」

【孝平】「だからそーじゃなくてっ」

ばたんっ

【女子生徒A】「あーよかった、テレビ空いてるよ」

【女子生徒B】「ラッキー♪」

その時、女子たちがわらわらと談話室に入ってきた。

【女子生徒C】「やっぱさ、大画面に限るよね」

【女子生徒A】「部屋のちっちゃいテレビじゃ観た気しないもんね」

リモコンを取り、テレビの電源を入れる。

紅瀬さんは興味なさそうに、ぷいっと窓の外を向いた。

……はたして誤解は解けたのだろうか。

だが、念を押すのもはばかられる雰囲気だ。

俺は諦めて、談話室から出ようとした。

ばたんっ

【男子生徒A】「あれ? テレビ」

と、その時、今度は男子たちが談話室に入ってきた。

【男子生徒B】「今週は俺たちの番だったじゃないか」

【女子生徒A】「え?」

【女子生徒B】「今週は私たちの番だよー。先週そう言ったでしょ?」

【男子生徒C】「言ってないし聞いてない」

【女子生徒C】「ちゃんと言いました。それに、私たちの方が先に来たんだから」

【男子生徒A】「待て、そりゃないだろー」

一気に殺伐とした雰囲気になってきた。

談話室では、たまにチャンネル権を巡る言い争いが起こる。

大きなテレビで好きな番組を観たい気持ちは、みんな同じだからだ。

【女子生徒B】「素直に諦めてよー、もう」

【男子生徒A】「不公平だっつの、それじゃ」

【女子生徒C】「どこがよ」

ばたんっ

【かなで】「ちょっと待ったーっ!」

突如として現れたのは、我らが寮長。

悠木かなで、その人だった。

制服姿ということは、今学校から帰ってきたばかりなのだろう。

【女子生徒A】「寮長!」

【女子生徒B】「聞いてください寮長ー、この人たちひどいんです!」

【男子生徒A】「ひどいのはおまえらだろ?」

【男子生徒B】「そうだよ! いつもテレビ独占しやがって」

【女子生徒C】「なんですってー?」

【かなで】「はいはい、みんな落ち着いて!」

【かなで】「そんな風にケンカ腰で言い合っててもラチあかないでしょ?」

まったくもってその通り。

でも、この状況をどうやって収めるつもりなんだろう?

ジャンケンなんて平和的な手段では、両者共に納得してくれなさそうな雰囲気。

【かなで】「ねえ、何時からの番組が観たいの?」

【女子生徒A】「5時です」

【かなで】「5時……あと15分か」

かなでさんは少し考えてから、ぽんと手を叩いた。

【かなで】「よし、じゃあこうしよう」

【かなで】「みんな、いったん廊下に出てくれる?」

【男子生徒A】「廊下……ですか?」

【かなで】「いえーす」

【かなで】「ほらほら、早くしないと5時になっちゃうよ。急げ~!」

かなでさんに急かされ、みんなぞろぞろと廊下に出て行く。

いったい何をするつもりなんだ?

【かなで】「こーへーもぼけっとしてないで、廊下に出る!」

【孝平】「え、俺も?」

【かなで】「そうだよ」

【かなで】「あと、きりきりもね」

【桐葉】「……」

明らかに迷惑そうな顔。

【かなで】「お願い、手伝って! すぐ終わるからさ」

【桐葉】「……はい」

紅瀬さんはしぶしぶといった様子で立ち上がった。

それから三分後。

【かなで】「第一回! 寮長杯争奪☆廊下ぴかぴかリレー大会!」

【かなで】「どんどんぱふ~っ」

廊下には、早くも野次馬たちが集まっている。

かなでさんの提案した方法とは、こうだ。

直線で約40メートルの廊下を、男女にわかれてホウキ型のカーペットクリーナーでリレーする。

賞品は、もちろん5時からのチャンネル権。

ちなみに女子チームには、5メートルのハンデが与えられた。

スタート地点には俺、そしてゴール地点には紅瀬さん。

第三者にジャッジを任せることで、公平が保たれるというわけだ。

【かなで】「え~、妨害行為に及んだ場合は、その場で反則負けとなります」

【かなで】「スポーツマンシップにのっとり、正々堂々と勝負してください」

【かなで】「押忍!」

【寮生たち】「押忍!」

【野次馬A】「がんばれ男子~!」

【野次馬B】「女子ー! 負けるなー!」

なんだか異様な盛り上がりだ。

俺が参戦するわけでもないのに、必要以上に力が入ってしまう。

【かなで】「それじゃスターターの支倉こーへーくん、合図をお願いします!」

【孝平】「了解」

よくわからないうちに重要な役割を任されてしまった。

俺はスタート地点に立ってから、深く息を吸う。

火花を散らす男子と女子。

緊張の一瞬だ。

【孝平】「位置について」

第一走者がカーペットクリーナーを構える。

【孝平】「用意」

まっすぐに前を見据え、腰を落とす。

【孝平】「ドン!」

【男子生徒A】「うおおおおおおお」

【女子生徒A】「はあああああああ」

戦いの火蓋は切って落された。

鋭い走りを見せる女子を、ぐんぐんと追いつめていく男子。

勢い余って、女子の軌道がわずかにぶれてしまう。

【野次馬C】「行ける行ける! 諦めるな!」

そうこうしているうちに、男子のカーペットクリーナーが第二走者に渡った。

女子、危うし!

【女子生徒B】「とあああああああ」

ようやく第二走者の女子にカーペットクリーナーが渡り、ぐんぐんと追い上げていく。

【かなで】「おおお、速い! 女子速いぞ!」

【かなで】「これはわからない展開になってきた~っ!」

【男子生徒B】「ぐはぁっ、頼んだ!」

【男子生徒C】「任せとけ!」

いよいよ男子のアンカーにカーペットクリーナーが渡る。

その直後に、女子のアンカーにもカーペットクリーナーが渡った!

【野次馬C】「行っけえええええ」

二人が並ぶ。

これは本当に読めない展開だ。

【男子生徒C】「おりゃあああああ」

【女子生徒C】「くはああああああ」

【桐葉】「……っ!」

紅瀬さんが身構える。

あと3メートル。

あと2メートル。

あと1メートル。

デッドヒートを繰り広げた二人が、いよいよゴールへと到達!

【かなで】「ゴーーーーーール!」

【男子生徒C】「はぁ、はぁっ」

【女子生徒C】「はあぁ、はぁ、はー、疲れたーっ」

俺の位置から見ると、ゴールはほぼ同時だった。

やがて歓声が止み、視線が紅瀬さんに集まる。

【かなで】「紅瀬審判、勝敗はいかに!?」

【桐葉】「……」

【桐葉】「僅差で女子チーム」

【かなで】「なんと! 優勝は女子チームうぅぅっ!」

【女子生徒たち】「やったーーーー!」

女子たちが抱き合って歓声をあげる。

まるでオリンピック決勝のような盛り上がりを見せていた。

【かなで】「はい、というわけでチャンネル権は女子チームに渡りまーす」

【かなで】「キミたち、異存はないね?」

【男子生徒たち】「……ありませーん」

男子たちは、打ちひしがれたように崩れ落ちた。

【かなで】「まあ、今回の勝負は女子に軍配があがったわけだけど」

【かなで】「キミらも足腰鍛えて、次回のリベンジに備えるように!」

【男子生徒たち】「押忍!」

自然と拍手が広がっていく。

なんだかよくわからないテンションだ。

……しかしすごいな、かなでさん。

かなりの力技だが、無事に争い事が収束してしまった。

両者納得した上に、廊下が綺麗になるというオマケつき。

見事な大岡裁きと言えよう。

【かなで】「こーへー、きりきり、協力してくれてありがとうね」

一仕事終えたかなでさんが、駆け寄ってきた。

【孝平】「俺は別に、大したことしてないですよ」

【かなで】「そんなことないよ。だいぶ助かった」

【桐葉】「もう帰ってもいいですか?」

【かなで】「うん。お疲れ様」

【桐葉】「では」

長い髪をなびかせ、紅瀬さんはその場を去っていく。

ほんの少しだけ、微笑んで見えたのは気のせいだろうか。

【孝平】「お疲れ様でした、かなでさん」

【孝平】「さすが寮長、ナイスな判断でしたよ」

【かなで】「あはは。でもちょっと騒がしくしちゃったかな」

【孝平】「大丈夫でしょう。まだそんなに遅くないし」

それに、寮生みんなが一緒になって楽しめた。

もちろん、俺も楽しかった。

【孝平】「……本当に、かなでさんはすごい人です」

【かなで】「違う違う。みんなのノリがよかったからだって」

【かなで】「あ、そうだ。協力してくれたお礼しなきゃね」

【孝平】「いいですよ、そんなの」

【かなで】「だめだめ。わたしの気が済まないの」

【かなで】「細かい仕事終わったら部屋に持って行くから、ベランダの鍵開けといて」

【孝平】「はあ」

【かなで】「じゃ、あとでね~♪」

かなでさんはスキップしながら去っていった。

なんだろう、お礼って。

以前もらった石狩ラーメンだろうか?

【孝平】「ふわあぁ~」

本日の課題はこれにて終了。

窓の外は、もう暗くなっていた。

俺は大きなあくびをしながら、テレビの前にごろりと横たわる。

……。

かなでさん、まだ来ないな。

仕事が立て込んでいるのだろうか?

忙しい時は手伝うから声をかけてくれと言ったのに。

それでも一人で頑張ってしまうところが、かなでさんらしいと言えばそうなのだが。

できれば、もっと頼ってほしい。

俺はかなでさんより年下だし、秀でた能力があるわけでもないけど。

……。

俺が唯一誇れるのは、かなでさんを好きだという気持ちぐらいだ。

今はこの気持ちが、一番大切なもの。

強く強くそう思う。

……。

横になっていたら、だんだん眠くなってきた。

かなでさんが来るまでは起きてないと。

起きてなきゃ。

……。

…………。

深い眠りの中で、誰かの気配を感じた。

目を開けなくても、誰かがすぐそばにいるのがわかる。

温かい気配だ。

そこにいるだけで、心が凪いでいくような。

誰?

俺の髪を撫で、頬にキスをするのは──

【孝平】「……」

少しずつ目を開ける。

ぼやけた視界が、だんだんと明瞭になっていく。

【かなで】「……」

【孝平】「……」

かなでさん?

寝起きでうまく頭が回らない。

ここは、たぶん俺の部屋だ。

どうしてかなでさんがここにいるんだろう。

……。

ああ、そうだ。

お礼を持ってくるとかなんとか言ってたっけ。

【かなで】「こーへー……」

もう一度、頬にキスされる。

触れた場所が熱を帯びていく。

心がとろんと溶けていく感じ。

気持ちいい。

俺はゆっくりと手を伸ばし、かなでさんの頬に触れた。

【かなで】「あ」

【かなで】「ご、ごめんね。起こしちゃった?」

離れようとするかなでさんの腕をつかむ。

そのまま引き寄せ、キスをした。

【かなで】「ん……」

背中に手を回し、抱きしめる。

じんわりと染み入るような温かさだ。

このまま、ずっとこうしていたいと思う。

【かなで】「ん……くっ……」

どちらからともなく、唇を開いていく。

舌先が触れ合った。

頭の芯が、ぎゅっと絞られるような感覚。

【かなで】「ふぅ……んんっ」

【孝平】「かなでさん……」

逃げる舌を追い求めるようにして、キスを繰り返す。

熱い口内はたっぷりとした唾液で潤っていた。

舌で歯茎をなぞり、唾液を絡め取る。

小さくついばみ、吸いついていく。

【かなで】「こ、こーへー……?」

かなでさんの唇が、戸惑い震えていた。

でも、抵抗はしない。

それをいいことに、さらに唇を貪っていく。

……やばい。

思考回路もろとも、脳髄が溶けていきそうだ。

もう何も考えられない。

【かなで】「ん……んぅ、んちゅ」

【孝平】「かなでさん……好きです」

キスをしながら、首筋を撫でる。

耳たぶが熱い。

ドキドキが伝わってくる。

俺の心臓も、もう爆発寸前だ。

【かなで】「あふ……っ」

耳たぶをそっと甘噛みする。

切なげな声をあげながら、かなでさんは俺に体重を預けてきた。

【かなで】「だ……だめ」

【かなで】「これ以上は、だめだよ……」

わかってる。

これ以上触れたら、もう自分を制御することなんてできない。

俺はただ、かなでさんにキスしたかっただけだ。

キスして、抱きしめて。

それだけのつもりだったのに──

//H-scene starts//

【かなで】「あっ」

床に、かなでさんを押し倒す。

かなでさんは驚いたように俺を見上げていた。

【かなで】「ど、どうしたの?」

本当に、俺は何をしているのだ。

自分で自分が謎だ。

寝惚けてるのか?

なぜかなでさんを組み敷いている?

【孝平】「……すみません」

謝ってはみたものの。

かなでさんに触れただけで、どうしても反応してしまう。

このまま帰らせることなんてできない。

物わかりのいい振りなんて、できそうになかった。

でも……。

【かなで】「こーへー?」

俺は唇を噛み締めた。

頭のどこかで、自分を制止する声が聞こえる。

衝動に走るな。

かなでさんが困ってる。

……いったい、どちらの声に耳を傾ければいい?

それがわからなくて、俺は再びかなでさんの唇に唇を重ねた。

【かなで】「んく、んふぅ……はぅ」

差し出した舌に、おずおずと舌が絡んでくる。

抵抗するべきなのか、受け入れるべきなのか。

かなでさんの逡巡が手に取るようにわかった。

迷っているのは、俺だけではないのだ。

このままだと、どうなってしまうのかわからない。

わからないけど、その先にあるものを見てみたい。

そんな裏腹な気持ちで揺れている。

俺も、かなでさんも……。

【かなで】「ちゅ……ふぅ、んはぁ」

【かなで】「はぁ、んっ……こーへー……んくぅ」

【孝平】「かなでさん……」

小さなキスを繰り返しながら、ベストのボタンを外す。

【かなで】「……っ」

ぴくん、と細い身体が震えた。

かなでさんの甘いため息が、俺の理性をどうしようもなく乱していく。

【かなで】「え……あっ……?」ブラウスのボタンを外すと、小さなブラに包まれた胸が見える。

それほどボリュームはないが、愛らしい乳房だ。

俺はごくりと唾液を飲み込んだ。

【かなで】「み、見ちゃだめ……っ」

【孝平】「見せてください」

【かなで】「だめっ」

恥ずかしそうに片手で胸を隠そうとするが、あまり意味をなさない。

頬がみるみると染まっていくのが、なんともかわいらしい。

【かなで】「……ちっちゃいの」

【かなで】「見ても、そんなに楽しいものじゃないの」

【孝平】「いや、俺としては楽しい気が……」

かなでさんは気にしているようだが、俺にはサイズなんて関係ない。

ここにいる人が、かなでさんだということが大切なのだ。

かなでさんを形成する、何もかもが愛おしい。

【孝平】「もっと、よく見せてください」

【孝平】「かなでさんの全部が見たいんです」

【かなで】「で、でも」

【かなで】「わっ……ぁ……っ」

その小さなブラをたくし上げてみる。

ほどよい二つのふくらみに、薄桃色の突起。

想像以上にかわいい乳房だった。

【かなで】「わ、わわ……っ」

【かなで】「だめ、見ないで。恥ずかしくて爆発しそう」

【孝平】「爆発されたら困ります」

【かなで】「でしょ? だから、見ないでってば」

【孝平】「かなでさん、着やせするタイプでしょう」

【かなで】「もう、人の話を聞いてよぉ」

ブラから解き放たれた乳房は、みずみずしいハリを保っていた。

本人が気に病むほど小さくはない。

少なくとも、服の上から見るよりは立派な印象がある。

【かなで】「あ……ひぁっ」

右側のふくらみを、手で包んだ。

くらくらするほどやわらかい。

指先が肌に吸いついていく。

【かなで】「んぁ、はぁっ」

聞いたこともないような艶やかな声が鼓膜に届く。

女の子らしい、恥じらいの表情。

寮長としてのかなでさんからは、考えられないような色っぽい顔だ。

【かなで】「こーへーの指、えっちだ……」

【かなで】「触られると、ふにゃふにゃってなる……」

乳房を優しく撫で回し、突起部分を指で突いた。

控えめだったその部分が、少しずつ硬くなっていく。

【かなで】「ひぅ、あぁ、あんっ」

肌全体がうっすらと汗ばむ。

よく目をこらすと、日焼けの跡があった。

先日の海水浴の時にできたものだろう。

【かなで】「こーへー、電気を……」

消すわけにはいかない。

もっともっとよく見たいのだ。

【かなで】「こーへー、今日はいじわるだよ?」

【孝平】「好きな子には、いじわるしたくなるんです」

【かなで】「うぅ、ずるい」

【かなで】「あっ……んふぁ、あっ」

乳首をつまみ、コリコリと刺激を与え続ける。

俺の下半身は早くも熱く憤っていた。

欲望をぶつけてしまいたい気持ちを押えるために、深呼吸。

【かなで】「……ひぁっ、ちょ、ちょっと待って」

【かなで】「そ、そこは無理……!」

脚を抱え上げ、下着に手をかけた。

ためらいもなく、足首まで一気に剥ぎ取っていく。

【かなで】「あぁ……!」

白い太腿とお尻があらわになった。

それに、ぽってりと充血した陰部。

乳房への愛撫で、すっかり潤っている。

【かなで】「うぅ……無理だって言ってるのに……っ」

泣きそうな顔になった。

そんな顔すらもかわいいと思ってしまう俺は、ひどいヤツだ。

【孝平】「綺麗ですよ」

【かなで】「嘘」

【孝平】「本当です」

【かなで】「……本当に?」

【孝平】「神様に誓って、本当です」

俺は、その小さな膝小僧にキスをした。

そのままふくらはぎへと、舌で線を描いていく。

【かなで】「ふぁっ、くすぐったいよ……ひうぅっ」

つるりとした肌は、少しだけ汗の味がした。

表側から裏側まで、丹念にぺろぺろと舐める。

【かなで】「ふぅ、んぁ、だめぇ」

【かなで】「あの……シャワー浴びてから、再スタートっていうのは」

【孝平】「却下」

【かなで】「うぅ」

【孝平】「このままがいいんです」

言いながら、じっとかなでさんの大切な部分を眺めた。

左右対称の陰唇の中心に、クリトリスが隠れている。

蜜にまみれたそれは、恥ずかしそうに身を震わせていた。

【かなで】「やんっ……そんなに近くで、見ないで」

【かなで】「あぁ、あくぅっ」

人差し指を、濡れそぼった割れ目にあてがう。

熱い。

感動すら覚えるほど、その部分は熱を持っていた。

【かなで】「あっ、はあぁっ……!」

かなでさんは我慢できないというように腰をくねらせる。

俺はしっかりと脚を押さえ、指を動かしていった。

【かなで】「ひぅ、あっ、だめ、恥ずかしいから、ほんとに」

少し動かしただけなのに、愛液がトロトロと流れ出してくる。

照明の下で粘膜が妖しく光り、目を離すことができない。

かなでさんって、感じやすいんだ。

まだ大して触れてもいないのに、もうぐちゅぐちゅになっている。

わざと、クチュッと音を立たせてみたり。

【かなで】「ひああぁんっ」

陰唇に埋もれていたクリトリスが、だんだん膨らんできた。

愛液の甘酸っぱい匂いが鼻腔を漂い、下半身が熱くなる。

ゆっくりと指を上下に動かしながら、半開きになった唇にキスをした。

【かなで】「ん、んぅ……ちゅ」

臆病な舌に舌を絡ませ、口内をすみずみまで探っていく。

キスをすればするほど、あそこの感度も上がっていくようだった。

溢れた愛液が太腿を伝う。

【かなで】「あむ……こーへー……あぁ、んくぅ」

唾液を交換し合い、飲み込み、また舌を絡ませる。

緊張と興奮で、お互い汗びっしょりだ。

【かなで】「うっ、んぁっ……ああぁっ……」

蜜壺に中指を少しだけ入れると、かなでさんの全身が震えた。

……すごい。

粘膜が絡みついてくる。

【かなで】「だめ……音、立てないで、ああぁっ」

【孝平】「だって、こんなに濡れてるんですよ」

クチュゥッ

【かなで】「やぁんっ!」

【かなで】「ずるいよ……ずるいよこーへー」

【かなで】「わたし、こーへーよりお姉さんなんだよ?」

【かなで】「お姉さんの言うことは、ちゃんと聞かないといけないんだから」

こんな時だけお姉さんぶるのは、ずるくないのか?

かなでさんには悪いけど、今は言うことなんか聞けない。

【かなで】「あっ、こら……あふぁ、んんっ」

クリトリスの包皮を開き、先端を親指で刺激する。

俺の指に応えるようにして、どんどん硬さを増していった。

【かなで】「ど、どうして言うこと聞いてくれないのよぉ……っ」

うっすらとピンクに染まっていく肌。

かなでさんに気持ちよくなってもらいたい。

その一心で、小刻みに蜜壺を愛撫していく。

【かなで】「怒るよ、もう……あぁ、はあぁっ」

【孝平】「いいですよ、怒っても」

怒るよと言いながら、こんなにあそこを濡らして俺の動きに応えてくる。

感じてくれているのだ。間違いなく。

【かなで】「くっはぁ、ああ、やっ……あぁっ」

第二関節を少し曲げ、引っかけるようにして前後に動かす。

中にたまっていた蜜がトクトクと流れていく。

【かなで】「ひあぁ、あっ、待って、ああぁっ、あっ」

鼓膜にやわらかく響く、かなでさんの声。

この声も吐息も肌も、全部俺だけのものだ。

【かなで】「んぁ、あっ、こーへ……あぁ、あっ」

【かなで】「ひうっ、んはぁ、ああぁっ、やんっ、んはぁっ」

かなでさんの声が少しずつ高くなっていく。

俺はさらに指を動かし、その熱と感触を味わった。

【かなで】「ひんっ、あぁ、奥が、ヘンになってるよ……ああぁっ、あっ」

【かなで】「やん、中が……あぁ、こーへー、ああぁっ」

内部の潤いが増し、太腿がガクガクと震える。

たまっている愛液を掻き出すようにして、中を弄っていく。

【かなで】「あん、あぁっ、だめ、ねえ、待ってってば……はあぁっ……ひゃぅっ」

【かなで】「待って、あぁ、だめぇ、ほんとに……ほんとに、ねえ、ああぁっ」

陰唇が痙攣し、赤みがよりいっそう鮮やかになる。

かなでさんは身体をしならせ、あそこにぎゅっと力を入れた。

【かなで】「ふあぁ、ヘンなことに、なってるよっ……ああぁっ、やはぁっ」

【かなで】「も、もう、あぁっ、やあぁっ、こーへー、んはあぁっ」

【かなで】「ひあぁっ、だめぇ、あふあぁっ、んあぁ、も、もう、あああぁあぁっ……!」

全身がこわばり、秘所から愛液が噴き出す。

びくん、びくんと内部が蠢いた。

【かなで】「ああぁ……あっ、はあぁっ」

締めつけが一瞬キツくなり、ゆっくりと力が抜けていく。

……絶頂に達してしまったのだろうか?

陰部から指を引き抜き、かなでさんの顔を覗き込む。

【かなで】「はぁ……あぁ……」

【孝平】「大丈夫ですか?」

【かなで】「う……」

【かなで】「だいじょうぶ……じゃないかも」

放心した様子で、かなでさんは俺を見上げた。

【かなで】「わたし、今、どうなってるの……?」

何がどういう状況になっているのか、自分でもよくわかっていないようだ。

【孝平】「いっちゃったんですよね?」

【かなで】「?」

【かなで】「そ、そうなの?」

俺に聞かれてもわからないけど、客観的に見るとそういうことだと思う。

【かなで】「なんか……身体がぎゅっと熱くなって」

【かなで】「ふわって浮いて、どーんと落とされて」

【かなで】「気づいたら、ここにいたの」

【孝平】「それは……たぶん、いったってことではないかと」

【かなで】「そうなんだ……」

はぁ、と息を吐いた。

【かなで】「……すごいね」

【孝平】「身体、つらくないですか?」

【かなで】「うん、平気」

【かなで】「ちょっとふわふわしてるけど、平気」

そう言いながら、かなでさんはわずかに上半身を起こした。

【かなで】「……わ」

目を見開いて、固まる。

その視線は、俺の下半身辺りに注がれていた。

俺はとっさに、前屈みになる。

【かなで】「なっ……えっ、えぇ?」

【孝平】「見ないでください。恥ずかしいから」

【かなで】「み、見るよ」

【かなで】「そんなになってたら、見ちゃうよ」

そこは見て見ぬふりをしてほしいところだ。

俺の股間は、もうどうしようもないほど勃起してしまっている。

というか、この状況で勃起しない方がおかしい。

すこぶる健全で健康な男子の証だ。

【孝平】「かなでさん」

【かなで】「え」

【孝平】「俺、かなでさんと……」

深くつながりたい。

かなでさんのすべてが欲しい。

本能の欲求を押し留めることは不可能だ。

【かなで】「こーへー……」

かなでさんは潤んだ目を俺に向けた。

慈愛に溢れた、優しいまなざしだった。

そのまま小さいかなでさんを抱え、そっとベッドに運ぶ。

【かなで】「……っ」

かなでさんの脚を大きく開かせる。

小さくヒクついた秘肉が、白日の下に晒された。

俺はズボンのベルトを外し、中からペニスを取り出す。

怒張を極めたそれは、先走りの汁で赤黒く光っていた。

【かなで】「わ、わわ……」

ペニスを間近に見たかなでさんは、驚きを隠せない様子だった。

そんなに猛反応されると、ものすごく照れ臭い。

【かなで】「こーへー、た、大変なことになってるよ?」

【孝平】「そりゃまあ……男ですから」

ペニスに手を添え、先端を膣口にあてがう。

ぬちゅ……という音と共に、亀頭が半分ほど蜜壺に埋まった。

【かなで】「くぅっ……!」

【孝平】「う……ぁ……」

熱く潤ったそこに触れただけで、意識が遠のきそうになる。

ぬるぬるとした性器は、亀頭をむっちりと包んでいった。

【かなで】「あ……入って……あぁ……っ」

かなでさんの腰がずり上がる。

きっと、痛くて痛くてたまらないのだろう。

【かなで】「くぅ、うっ……んっ」

眉間に皺を寄せ、シーツをつかんでいる。

かわいそうになるぐらい、つらそうな顔だ。

【孝平】「かなでさん……痛いですよね?」

【かなで】「う……だ、だいじょうぶ……」

いや、絶対大丈夫じゃなさそうだ。

これ以上進んだら、壊れてしまいそうで。

【かなで】「……だめ」

【かなで】「やめちゃだめだよ」

【孝平】「でも……」

【かなで】「乗り越えたいの……こーへーと一緒に」

【かなで】「こーへーのこと、好きだから」

涙ぐんだ目で、かなでさんはつぶやく。

【かなで】「好きだから、もっと……」

【かなで】「お願い」

……そうか。

かなでさんは、もうとっくに覚悟を決めてくれていたのだ。

その気持ちに応えたい。

【孝平】「うっ……」

腰を押し進め、さらに奥を目指す。

とても狭くて、これ以上は進めそうにない。

それでも、どうにか先に続く道を見つけていく。

【かなで】「あぅ……うっ、はうぅ」

【孝平】「かなでさん、力を抜いてください」

【孝平】「あと少しですから」

【かなで】「あぁ、ひぁっ、んっ……!」

じりじりとペニスを埋め込んでいく。

【かなで】「ふぅ、んっ……あぁっ」

割れた陰部はとめどない愛液を流し、俺を受け入れる。

【かなで】「……ああぁっ!」

やがて亀頭が、一番狭い部分を通過した。

腰と腰が密着し、ペニス全体がかなでさんの中に埋まる。

じんわりとした熱に包囲され、あまりの気持ちよさに一瞬声が出なかった。

【かなで】「あぁ……、こーへー……っ」

【孝平】「かなでさん、入りましたよ」

二人は完全に一つになっている。

喜びと達成感が、一気に湧いてきた。

【かなで】「ふぇ……?」

【かなで】「あ、あれが、入っちゃったの?」

【孝平】「はい」

かなでさんは頭を少し上げて、自らの陰部を覗き見た。

【かなで】「わ……っ」

【かなで】「わたし、すごい格好してるよ……?」

真っ赤になって陰部を隠そうとするが、時すでに遅し。

もうすみずみまで、ばっちり見えてしまっている。

【かなで】「うぅ……恥ずかしい」

【孝平】「そろそろ観念してください」

【かなで】「む、無理だよ」

【かなで】「好きな人に、こんな恥ずかしい格好見られちゃうなんて……」

【孝平】「好きな人って、俺ですか?」

【かなで】「……ほかに誰がいるの?」

【孝平】「いえ」

さらりと放ったその言葉が、やたらと嬉しかった。

好きな人。

かなでさんは俺のことを好きでいてくれる。

愛されているんだと、しみじみと思う。

【孝平】「俺も、かなでさんのこと大好きです」

【孝平】「一番……好きです」

【かなで】「あぁっ……はうぁっ!」

ゆっくりとペニスを引き抜き、再びねじ入れていく。

愛液に混じって、一筋の血のようなものが流れた。

俺たちが一つになった証だ。

【かなで】「ひぁ、あっ……動いてるよ……」

てらてらと光る陰部は、俺自身をぎゅうぎゅうと圧迫している。

二度と抜けないのではと思うほど、すごい締めつけだ。

こんな調子でずっと締めつけられたら、かなりやばいことになってしまう。

【かなで】「こーへー、気持ちいい……?」

【孝平】「はい……めちゃめちゃ気持ちいいです」

【孝平】「気持ちよすぎて、困るぐらい」

【かなで】「そ、そうなんだ……よかった」

【かなで】「女冥利に尽きるってやつだね」

安堵したような微笑みを浮かべる。

まだ痛いだろうに、そんなことは口に出さない。

俺のために、痛みに耐えていてくれるのだ。

【かなで】「動かして、いいからね」

【かなで】「こーへーが気持ちよくなってる顔、見てみたいんだ」

【孝平】「……はい」

かなでさんの優しさに応えるように、腰を前後に揺らした。

蜜にまみれたペニスを、リズミカルに秘所へと送り込んでいく。

【かなで】「ふうぅ、うんっ……んっ」

苦悶の表情を滲ませながら、艶っぽい吐息を漏らす。

陰部はさらなる熱を持ち、蜜を溢れさせた。

【かなで】「こーへーの、すごい……どんどん大きくなってるの、わかるよ」

……不思議だ。

俺は、子供の頃からかなでさんのことを知っていて。

あの頃は、面倒見がよくて気のいいお姉さんでしかなかったのに。

今では恋人同士として身体を重ね合っている。

キスして、抱き合って、性器をこすりつけて。

お互い、すべてをさらけ出し合っている。

【かなで】「あぁ、こーへー……あふぁっ、んんっ、あぁっ」

こんなにいやらしいかなでさんを知っているのは、世界で俺だけだ。

俺だけの、かなでさん。

【かなで】「くぅ、んっ……はぁ、お腹の中、びくびくって、してる」

上下に揺れる乳房を、少しだけ強く揉み上げる。

やわらかなふくらみは、手の中で自由自在に形を変えていく。

【孝平】「あっ……」

粘膜が棹部分にまとわりつき、絞り上げる。

さっきより、滑りもよくなってきた。

【かなで】「ひぁ、はうん、んっ、ああぁっ、あぁっ」

ずちゅっ……ぬぷぅっ、ぬちゅっ……

性器と性器のこすれ合う音が、少しずつ大きくなっていく。

額から流れた汗が、かなでさんの下腹部へと垂れていった。

【かなで】「こーへー……ちゃんと顔見せて」

至近距離で見つめ合う。

【孝平】「なんか、恥ずかしいんですけど……」

【かなで】「我慢して」

【かなで】「こーへーより、わたしの方が恥ずかしいんだからね」

【孝平】「……はい」

【かなで】「だから、こーへーもいっぱい恥ずかしくならないと不公平なの」

【かなで】「ね?」

どういう理屈かわからないが、ひとまずうなずいておく。

【孝平】「えっと……動かしてもいいんですか?」

【かなで】「うん、いいよ」

【かなで】「ねえ……わたしも、動かした方がいいのかな?」

ちょっと不安げにかなでさんは言う。

【孝平】「いきなり無理しなくてもいいですよ」

【孝平】「今は、俺に身を任せてください」

【かなで】「ん……わかった」

【孝平】「じゃあ、行きますね」

耳元で囁きながら、小刻みに腰を動かしていく。

【かなで】「んっ、あっ……」

吐息で湿った唇が動いた。

【かなで】「わ……奥まで、ちゃんと届いてるよ」

【かなで】「ひぁ、あっ……くふぁっ」

快感が徐々に高まっていく。

全身が熱くなり、眩暈のような感覚を覚える。

【かなで】「ぁっ……あぁ、わたし、ああぁっ、ひあぁ……っ」

【かなで】「ねえ、わたしの中、すごいことに……なってるかもっ」

叩きつけるようにして、ペニスを最深部に押し込む。

背中をのけぞらして喘ぐかなでさんは、たまらなく淫らだ。

【かなで】「んぁ、あぁ、あっ、ふああぁ……あっ、ひああぁっ」

【かなで】「熱い……あぁ、こーへー、わたしどうなっちゃうの? あぁっ」

【孝平】「力を抜いてください。その方が楽だと思います」

俺は奥歯を噛み締めて、ひたすらペニスを陰部にこすりつけていた。

【かなで】「はん、ひあぁん、こーへー、すごく、気持ちよさそうな顔してる……」

【かなで】「わたしの中に、入ってるから?」

【孝平】「……そうです」

【孝平】「かなでさんの中、すごくいいから……」

下腹部が燃えるように熱い。

限界が近づいている。

【かなで】「こーへー、ああぁ、はあぁっ……あのね、なんか……」

【かなで】「さっきの、来ちゃいそうだよ……んんっ、ふああぁっ、あふっ、んうぅ」

【孝平】「かなでさん、俺も……っ」

【かなで】「あん、んんっ……あああぁっ、あっ、あぁっ、ふああぁっ」

さらにかなでさんの脚を広げさせ、ずぶずぶと腰を前後させた。

【かなで】「ふうぁっ、あぁ、一緒に……一緒がいいよ……あぁっ」

【孝平】「俺も……一緒にっ」

【かなで】「お願い、あっ、手、握って……ああぁっ、ふあああぁっ」

【かなで】「ああぁ、あっ……んはぁ、やっ……ひあぁ、ああああああぁっ……!」

びゅくっ……びゅくうぅっ、びゅくううぅ!

快感が全身を駆け巡る。

かなでさんの内部へと、白濁液をぶちまけていく。

【かなで】「はあぁ、ああっ……あふあああぁっ……」

かなでさんは荒い息を吐きながらベッドに沈んだ。

精液をすべて搾り取るかのように、膣内が締まる。

【かなで】「はぁ、あ……はぁ……」

【孝平】「はぁ、はぁ……かなでさん……」

まだペニスが、残った精を吐き出し続けている。

射精の余韻を味わってから、ゆっくりとペニスを引き抜いた。

【かなで】「んっ……」

ペニスを抜くと、膣内からどろっと愛液が流れ出した。

けっこうな量だ。

【かなで】「あ……シーツが……」

【かなで】「ごめんね、汚れちゃった……」

【孝平】「気にしないでください、そんなこと」

【孝平】「いっぱい濡れたってことは、いっぱい感じてくれたってことですよね?」

【かなで】「う……」

かなでさんは恥ずかしそうに目をそらした。

【孝平】「あれ? 違いました?」

【かなで】「ち、違くないけど」

【かなで】「はあ……」

ぐったりとした様子で、ベッドに横たわる。

俺はそばにあったティッシュを取り、精液まみれになった陰部をそっとぬぐった。

【かなで】「ひぁっ」

【かなで】「ま、まだ、敏感になってる……」

ティッシュにはうっすらと破瓜の証が付着している。

かなでさんの初めてを、もらってしまった。

……嬉しい。

俺にすべてを預けてくれたことが、何よりも嬉しい。

【孝平】「ところでかなでさん」

【かなで】「……え?」

【孝平】「俺に、お礼するとかなんとか言ってませんでしたっけ」

【かなで】「あー……」

焦点が定まっていない。

まだ絶頂の余韻に浸っているようだ。

【かなで】「えっと……」

【かなで】「忘れてきちゃったみたい」

なんだそりゃ。

【かなで】「ごめんね」

【孝平】「いや、それはいいんですけど」

一番大切なものをもらっちゃいましたし。

……と返すのは、ちょっとオヤジっぽいのでやめておいた。

それにしても。

ちょっと性急過ぎただろうか、と思う。

なし崩し的に、こういう状況に持ち込んでしまった。

俺は本当に意志の弱い男だ。

【孝平】「かなでさん……すみませんでした」

【かなで】「……」

//H-scene ends//

【孝平】「かなでさん?」

【かなで】「すー……すー……」

って、もう寝てるし!

かなり疲れさせてしまったようだ。

俺は小さく息を吐いてから、かなでさんに布団をかけた。

……。

じっと寝顔を見つめる。

長いまつげに、あどけない唇。

俺の隣で、安心したように寝息を立てている。

【孝平】「かなでさん……好きです」

そうつぶやいて、目を閉じた。

かなでさんの寝息を、子守歌にして。